白斑が散らばる姿、まるで晴天時に舞う雪のよう…屋久島の採取魚「カザハナニジギンポ」と命名 鹿児島大チーム

日本国内で初めて正式確認された「カザハナニジギンポ」=屋久島近海(高久至写真事務所提供)

 鹿児島大学総合研究博物館などの研究チームは、イソギンポ科の魚の一種を国内で初めて正式確認し、標準和名を「カザハナニジギンポ」にしたと発表した。屋久島(鹿児島県)と阿嘉島(沖縄県)の近海で採取された個体を検証、日本魚類学会誌で1月15日に公表された。

 体長34~38ミリほど。インド・西太平洋に広く分布することが知られていたが、日本国内に詳細な記録はなかった。背びれの中央に黒斑があるのが特徴。平らな海底に好んで生息し、貝の空の殻に営巣する生態がある。

 和名は、背びれ上部が鮮やかな黄色で、体側にかけて白斑が散らばる姿から、晴天時に舞う雪を指す「風花(かざはな)」にちなんだ。

 名付け親の鹿児島大大学院修士2年樋口聡文(あきふみ)さん(25)は「魚のきれいな色彩にぴったりの言葉が見つかった。南方の魚だが、屋久島の山地では雪も降るので、地域的な要素も組み込めた」と話した。

 同博物館の本村浩之教授(魚類分類学)は「屋久島近海は、海洋生物の調査が県内で最も進んでいる。それでも、まだまだ未知の部分があり、多様で豊かな海であることが示された」と話した。

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