「免許なしで乗れると思っていた」 電動キックボードでのひき逃げ容疑で逮捕の男 ネットで購入しルール理解せずに運転か 時速20キロでぶつかると頭部挫傷のおそれも

2月3日、名古屋で起きた電動キックボードによるひき逃げ事件で、44歳の男が逮捕されました。はねた時のスピードは約20キロ、その衝撃の大きさとは。

2月3日午後5時過ぎ、名古屋市中区の路上で電動キックボードに乗った男の姿が。

次の瞬間、歩行者に突っ込み、歩行者の男性ははね飛ばされて道に倒れ込みます。

男は男性の様子をうかがうそぶりを見せるもその後、男性が何とか立ち上がり歩道へと避難すると、あろうことか、そのまま現場から走り去ったのです。

(介抱した人)
「男の人でしたけど、ちょっと涙ぐんでたから、相当痛かったんだと思います」

はねられた47歳の男性は、鎖骨を折るなどの大けがをしました。

(被害に遭った男性)
「自営業なので今後の営業もできないし、生活どうしようかなという感じ。(Q.電動キックボードの印象は変わった?)もともと怖いなと思っていた。やっぱり危ない」

そして8日、この電動キックボードを運転していた男が逮捕されました。逮捕されたのは、中区の無職・松崎和則容疑者44歳で、無免許で電動キックボードを運転し、中区栄の一方通行の道路を逆走して男性をひき逃げした疑いがもたれています。

警察の調べに対し、松崎容疑者はひき逃げしたことを認めた一方で、「免許なしで乗れると思っていた」と話し、容疑を一部否認しています。

電動キックボードは去年7月の法改正で、最高速度が時速20キロ以下のものは16歳以上であれば免許なしで乗ることができるようになりましたが、最高速度が時速20キロを超えるものは原付扱いとなります。

松崎容疑者が乗っていた電動キックボードは最高速度が25キロほどで、運転するには免許が必要です。松崎容疑者は電動キックボードを法改正直後の去年8月にインターネットで購入したと話しているということですが、ルールをよく理解せずに乗っていたことが伺えます。

時速20キロの衝撃は…頭部挫傷など大きなけがにつながる可能性も

松崎容疑者は時速20キロ前後で男性をはねたとみられますが、その衝撃はどれほどのものだったのか。

これはJAFが、電動キックボードでの事故を再現した実験映像です。HICという衝突による脳などへの損傷を示す値を測ったもので、時速6キロでぶつかった場合はHICは約4300で、脳が損傷する可能性がある基準値である「1000」の約4倍です。

さらに、今回と同じ程度の時速20キロでぶつかった場合はHICは基準値の約7倍の6900で、より頭部への衝撃が大きいことがわかります。

去年、大石邦彦アンカーマンが三重県鈴鹿市の電動キックボードの開発メーカーを訪ね、開発者の前で時速20キロのスピードを体験。

(大石アンカーマン)
「結構早い!」
「時速20キロで走行して、ヘルメットをかぶっていなかったらどんなリスクがありますか?」

(フヂイエンヂニアリング・藤井充社長)
「時速20キロでひっかかって前転するような転倒をした場合、頭から先に地面に落ちる可能性が高い。受け身がとれたらいいが、頭部挫傷など大きなけがにつながる可能性がある」

今回、名古屋市内で歩行者をはねた松崎容疑者は、逃げた理由について「捕まりたくなかった」などという趣旨の供述をしているということで、警察が当時の状況をくわしく調べています。

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