プーチン氏に対抗姿勢の候補、登録認められず ロシア大統領選

ロシアの中央選挙管理委員会は8日、来月の大統領選挙に関し、ウクライナ侵攻に反対するボリス・ナデジディン元下院議員(60)の候補者登録を認めないと決めた。

ナデジディン氏は、ウラジーミル・プーチン大統領が決定したウクライナへの全面侵攻に批判的な立場を取っている。ロシアでは依然として、ウクライナ侵攻への反対意見が容認されにくい状況が続く。

中央選管は、ナデジディン氏が候補者申請をした際に提出した署名の15%以上が無効だったと説明。10万5千筆のうち9千筆以上が無効で、さまざまな違反があったとした。

これにより、有効署名は9万5587筆となり、候補者登録に必要な10万筆にはわずかに届かないとされた。

タス通信によると、中央選管のエラ・パムフィロワ委員長は、「決定が出た」、「ナデジディンが望むなら、裁判所に訴えることができる」と述べた。

ナデジディン氏はこの決定に異議を唱えようとしたが、中央選管はそれを受け付けなかった。

同氏は、諦めずに最高裁判所に異議を申し立てると、ソーシャルメディア「テレグラム」で表明。「2024年大統領選への立候補は、私の人生で最も重要な政治的決断だ」、「私はロシア全土で20万人以上の署名を集めた。公明正大に集めた」と書いた。

ナデジディン氏はBBCに、ロシア政治における一部の決定は残念ながら「法律に従ったものではない」と主張。自らについて、「ロシアが権威主義と軍国主義の道を歩むことを望まない何千万人もの」支持をすでに得ていると述べた。

ロシアの大統領選は来月15~17日に実施される予定。ただ、クレムリン公認とされる候補者しか立候補していないため、結果はすでに決まったも同然の状態。

候補者は10日に最終決定される。中央選管のパムフィロワ委員長は、候補者が4人になるのは明らかな状況だと話した。

現職のプーチン氏以外の候補は、民族主義指導者のレオニード・スルツキー氏、国会副議長のウラジスラフ・ダヴァンコフ氏、共産党員のニコライ・ハリトーノフ氏。これら3氏は、所属する政党がいずれも政府の政策を広く支持しており、真の挑戦者ではないとみられている。

ナデジディン氏は、ロシアがウクライナに全面侵攻をして以降、国営テレビのトーク番組で政府批判をする数少ない人物となった。そうした番組では、他のゲストたちの批判の的となってきた。

1990年代には、プーチン氏に批判的なボリス・ネムツォフ氏のアドバイザーを務めた。ネムツォフ氏は2015年、大統領府のすぐ近くで暗殺された。一方で、ナデジディン氏は、プーチン氏に近いセルゲイ・キリエンコ氏ともつながりがある。

ナデジディン氏の立候補は当初、一部の野党関係者から疑いの目で見られていた。しかし、主な反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏が北極圏内の監獄から支持を表明。亡命中の元ビジネス界の大物ミハイル・ホドルコフスキー氏も支援するとした。

(英語記事 Putin challenger Boris Nadezhdin barred from Russia's election

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