パキスタン総選挙、カーン氏・シャリフ氏双方が勝利宣言 混迷一段と

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Ariba Shahid Gibran Naiyyar Peshimam

[イスラマバード 9日 ロイター] - パキスタンで8日に実施された総選挙(下院、定数336)は、9日1830GMT(日本時間10日午前3時30分)までに集計された245議席のうち、カーン元首相を支持する無所属候補者が98議席を獲得し、全体で最多の議席を獲得している。

今回の選挙は265議席を対象に行われ、単純過半数を取るには133議席が必要。

カーン氏は国家機密漏えいなどの罪で収監されており、同氏が率いる最大野党パキスタン正義運動(PTI)の候補者はPTI候補としての出馬が認められず無所属として出馬した。

一方、シャリフ元首相の与党「パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派」(PML─N)は69議席と、単独では最多の議席を獲得。暗殺されたブット元首相の息子、ビラワル氏のパキスタン人民党(PPP)は51議席獲得となっている。

これを受けてカーン氏とシャリフ氏はそれぞれ勝利を宣言した。シャリフ氏は、党単独では明確に過半数を獲得できなかったため、連立政権樹立に向け他政党と協議する方針を示した。

今回の総選挙では、武装勢力の攻撃で28人が死亡するなど、投票日にかけて治安が悪化し、携帯電話サービスが停止した影響で開票作業が遅れた。パキスタンで選挙結果の発表が遅れるのは異例。選管高官は「インターネットの問題」が遅れの原因と説明した。

今回の選挙について、アナリストからは単独過半数を獲得する政党はなく、複数政党による連立政権になるとの見方が出ていた。さらに、経済危機からの回復に苦闘する一方、政治的二極化が進む中で武装勢力が台頭するなど、同国社会の混迷に拍車をかける可能性も指摘されていた。

アナリストの予想通り連立政権となれば、同国が直面するさまざまな課題への対応が複雑化することが予想される。差し迫った問題は国際通貨基金(IMF)の新たな支援プログラム。現行のプログラムは3週間後に終了する。

今回の選挙プロセスに対し、米国、英国、欧州連合(EU)は9日、懸念を表明。活動家の逮捕など選挙干渉の疑惑に言及し、不正の可能性を十分に調査すべきだとした。

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