羽後町で発見「ウゴイルカ」が新たな属性の新種と判明 

32年前に羽後町で発見され保存展示されていたイルカの頭蓋骨の化石「ウゴイルカ」が新たな属性の新種であることが明らかになり、町は化石を天然記念物に指定することを明らかにしました。今後、町の内外にウゴイルカをPRすることにしています。

羽後町田代地区の道路工事現場で32年前の1992年に見つかった化石です。イルカのくちばしから頭蓋骨まで長さが57センチ幅は26センチあり、イルカの体長は約1.9メートルと推定されています。町の歴史民俗資料館が「ウゴイルカ」と名付け保存・展示しています。

古生物学を専門とする筑波大学大学院の甲能直樹博士とカク シセンさんが改めて調査したところ、ウゴイルカがイルカの先祖ケントリオドン類の新たな属性の新種であることが明らかになりました。

筑波大学大学院カク シセンさん「今回私たちの研究によりケントリオドン類でありながら様々な特有の特徴が見られることから新属新種というふうに同定をしました。この部分がすごく高い、出っ張っている特徴がウゴイルカだけが見られる特徴の一つ」

ケントリオドン類は約1600万年から1200万年前にかけて世界中に広く生息していたと考えられているイルカの先祖です。

カクさんによりますと、国内でのケントリオドン類の化石の発見は今回で4例目になりますが、ウゴイルカは、くちばしから頭蓋骨にかけて骨の一部が隆起し、後頭部の骨の幅が広がっているなど、これまでにない特徴から新たな属性の新種と判明しました。

ギリシャ語で「広い首」という意味のPlatysvercus と発見した地名を意味するugonisを合わせPlatysvercus ugonisという学名で、国際的な学術誌に論文を発表したということです。

筑波大学大学院カク シセンさん「イルカの化石を見ますと、くちばしというのが残ってなかったりもしくは後頭部が壊れていたりそういった標本はたくさんあります。くちばしも頭蓋全体も完全に保存されているのがすごくレアなことなので、すごい貴重な標本化石だと思います。今回イルカも実はその時代でその地層で生きていたということが大きな発見となっていて、当時の環境の復元にも大きく貢献できたのではないかと」

この発見に羽後町の安藤豊町長は「とてもびっくりしています。こうした化石が山の中にあったということは知っていましたが、まさか新属新種などというものであるとは夢にも思いませんで、この後もいろいろ手を変え品を変えといいますか、そういう形でこの存在をぜひアピールしたい」と述べました。

羽後町は歴史民俗資料館で開かれている化石の特別展の期間を来月17日まで延長するほか、ウゴイルカを天然記念物に指定することにしていて、町の内外にPRしていきます。

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