日頃から節約し、固定費も見直し済みです。だけど物価そのものが上がっているため節約できたのか不明です。本当に節約できているのでしょうか。

「節約」は、無理なく・無駄なく・習慣化がポイント

支出を抑える手段として「節約」することは有効です。無駄な支出をなくす(減らす)、代用できるものがあれば買わないなど、工夫次第で支出額の削減は可能でしょう。ただし、「我慢」や「過度な節約」は、長続きせず、また精神的ストレスを引き起こすなど弊害が生じる可能性があるため、おすすめしません。

とくに、食料品をはじめ生活必需品の価格が高騰している現状においては、生活に必要なものは我慢せずに購入すべきです。節約ができているかどうかよりも、大切なのは、無駄を省くためのルール作りや工夫ができたかどうかを検証することです。

「節約」にもさまざまな方法があります。基本的には、無理なく無駄を省き、習慣化させることが大切です。そういった意味で、毎月ほぼ定額で費用が発生する「固定費」の見直しは、継続的な支出削減につながるため有効と言えます。

使わない部屋の電気は消すことを習慣化し、契約変更やオプション契約を解除することで光熱費削減が実現するケースも多くあります。携帯代などの通信費も同様です。また、加入したまま利用していないサブスクリプションサービスなども再確認することで無駄に気づくことができるでしょう。

明確な目的と目標をもって取り組む

ただ出費を減らすことが「節約」ではありません。「赤字」家計の場合には根本的な収支状況を把握したうえで見直す必要がありますし、「教育費を準備したい」「豊かな老後生活を送りたい」といったケースでは、期間や金額をふまえた計画を立てる必要があります。

日頃から無駄な出費を抑えることは当然ですが、何のために支出を削減するのか「目的」を明確にしたうえで、どのくらいの金額を削減する(したい)のか具体的な目標を設定すると、意識も変わり効果を実感することができます。

なお、家族構成や生活スタイル、価値観はそれぞれ異なります。効果的と評判の取り組みであっても、自分には不向きということもあり得ます。チャレンジすることに意味はあるものの、無理はしないようにしましょう。

家計の見直しにおける2つの視点

継続的な効果を見込める「家計改善」を実現するためには、以下の2つの視点で考えてみることをおすすめします。

月単位での短期的な視点

給与など入ってくるお金に対して、住まい関連費や水道光熱費、通信費、保険料等の「固定費」と食費や日用品等の「変動費」など出ていくお金を把握することで月単位での収支が見えてきます。支出項目ごとに予算を決めると使い過ぎや余裕の有無を把握しやすくなります。

その世帯にとって、いくら残ればよいのか(貯蓄もしくは投資に回せるのか)を具体的な金額で考え、実現を目指します。このとき、支出に目が行きがちですが、可能であれば、収入を増やすことも検討してみましょう。

将来を見据えた長期的な視点

家計の見直しにあたっては、将来を見据えた長期的な視点も重要です。子育て世代においては、教育費と住宅ローン負担に加えて食費が膨れ上がり、家計を圧迫するケースも多く見られ、貯蓄にまわす余裕がないのが現実かもしれません。長い人生のなかでは、貯められる時期と貯められない時期があります。

だからこその長期的視野なのです。○年後の大学入学資金、○年後の老後資金など将来のためのお金として目的を明確にしたうえで、必要となる目標額を設定し、ゴールまでの期間で実現できるよう計画を考えたいものです。

まとめ

日頃から節約を心がけていても、物価高騰の影響もあり、思ったほど効果が実感できないという声が多いのが現状のようです。無理のない範囲で工夫しながら無駄を省くことは大切ですが、月単位での収支の把握とともに長期的視野で家計を考えたいものです。

自分自身のライフスタイルをふまえたうえで、家計の見直しを行うことで、社会情勢や経済環境による物価高騰の影響に振り回されない、将来的に安定した生活の実現をめざしましょう。

やみくもな「節約」は、精神的に追いつめられ、悪循環にもなり得ます。自分にとって、何を目的として、どのくらいの支出削減が適切なのか、具体的数字で目標を設定すると、充実感とともに効果が実感できるでしょう。

執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士

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