ブギウギ第19週振りかえり・東京ブギウギ

大阪の下町育ちのヒロインが、やがて戦後の日本を明るく照らすスターとなるまでの波瀾万丈な人生を描く連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK朝ドラ)。2月10日の放送では、「東京ブギウギ」と題する第19週(2月5日〜2月9日放送)を振りかえる。

舞台にて、『東京ブギウギ』を唄うスズ子(趣里)(C)NHK

■愛助がこの世を去り、愛子が誕生してから3カ月

ヒロイン・スズ子(趣里)が、愛助(水上恒司)との間に授かった娘・愛子を出産してから3カ月が経った。スズ子は、病で帰らぬ人となった愛助がいない寂しさを感じつつも、気丈に振る舞う日々を過ごしていた。

トミ(写真左、小雪)と向き合うスズ子(趣里)(C)NHK

一方で、マネージャーの山下(近藤芳正)からは、そろそろ仕事を始めて見てはどうかと提案されるスズ子だが、慣れない子育てに追われる日々で精一杯の状況にいた。そんな折、「村山興業」の社長であり、愛助の母であるトミ(小雪)が、「スズ子と話がしたい」と大阪から訪ねてくる。

愛する息子への思いを語るトミは、愛助が最期までスズ子と夫婦になることを諦めなかった姿に、「二人の結婚を許さなかったことは本当に正しかったのか」と自責の念に駆られていた。しかし、スズ子はそれを責めることなく、二人はようやく素直な気持ちを伝え合う。

今後について話し合った結果、忘れ形見の愛子はスズ子が育てることになり、トミは何か困ったことがあればすぐに力になると約束する。そして、柔らかい表情を浮かべるトミは、「また歌うてくださいね」「ワテもほんまはあんさんの歌のファンやねん」と去り際に残していくのだった。

■歌手への復帰を決心、羽鳥に新曲を依頼する

トミの言葉に胸を打たれ、「また歌いたい」という気持ちがようやく湧き上がってきたスズ子は、作曲家の羽鳥(草彅剛)を訪ねて「新曲を作って欲しい」とお願いをする。スズ子からの珍しい新曲のリクエストに羽鳥は戸惑うが、スズ子の思いを受け、緊張しつつも快く新曲の作曲を引き受ける。

スズ子(趣里)から新しい曲作りをお願いされる羽鳥(草彅剛)(C)NHK

ほどなくして、香川からスズ子の父・梅吉(柳葉敏郎)が訪ねてきて、孫の愛子と初めて対面する。久しぶりに再会した二人は、親子水入らずで懐かしい話や、それぞれの近況を語りあう。梅吉は亡くなった妻・ツヤ(水川あさみ)への想いを語りながら、娘を愛する父、そして愛する者に早く旅立たれた者同士として、恋人の愛助を失ったスズ子を慰めるのだった。

一方、羽鳥は、スズ子から頼まれた新曲をどうすればいいの深く悩んでいた。そんなある日、列車に乗って揺られていた羽鳥の頭のなかに、走行音をきっかけにあるメロディが降って湧いてくる。さっそく浮かんだメロディを喫茶店の紙ナプキンに書き殴ると、スズ子に「これ!君の歌だ」「すごいのができてしまったよ!」と大興奮で伝える。

■名曲「東京ブギウギ」の完成、そしてブギの女王の誕生

ついに羽鳥がスズ子のために作曲した新曲「東京ブギウギ」が完成する。曲の出来上がりは抜群で、レコード会社「コロンコロンレコード」では、ヒットすること間違いなしと一同は盛り上がる。

レコーディングスタジオにて、新曲「東京ブギウギ」を披露するスズ子(趣里)(C)NHK

さらには山下の提案で、レコーディングスタジオに米兵たちを呼ぶことが決まり、思いもよらなかった提案に戸惑うスズ子。慣れない状況に緊張しながらも迎えたレコーディング当日、多くの米兵たちに囲まれて、スズ子は「東京ブギウギ」の録音に臨む。米兵を招いたレコーディングは大成功し、すぐにレコード発売とスズ子のワンマンショーが決定する。

ショーに向けて、羽鳥の気合が入った稽古に臨むスズ子だが、生まれて間もない愛子の世話をするために何度も中断することになってしまう。このままでは稽古にならないと悩む一同だが、いい解決策を見出すことができない。そんな時、稽古場を訪ねてきた歌手のりつ子(菊地凛子)がその様子を見かねて、稽古中と本番時の愛子の世話を引き受けてくれることになる。

いよいよスズ子のワンマンショー初日。「ほな愛子、お母ちゃん、お客さんとズキズキワクワクしてくるわ」と、りつ子と愛子に見送られて楽屋を後にしたスズ子は、「日帝劇場」のステージにて『東京ブギウギ』を披露する。こうして、人々を楽しませ、励まし、生きる活力を与え、日本中をズキズキワクワクさせた名曲『東京ブギウギ』によって、ブギの女王が誕生するのだった・・・。

本作は、戦後「ブギの女王」として一世を風靡した歌手・笠置シヅ子さんをモデルに、歌の才能を開花させて上京したヒロインが、昭和を代表するスター歌手として激動の時代を生き抜いていく物語。土曜日はその週の振りかえり。

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