最後の児童は4人…小さな小学校で半世紀以上受け継がれたスケートリンク 閉校前「最後のスケート」 静岡市 

スケートリンクで楽しそうにスケートをする子どもたち。
児童「すごい楽しいです」
児童「シュッーてそのまま歩かなくても、すぐ滑れるのが楽しかったです」

山間の小さな小学校に子どもたちの笑い声が響きます。ここは、全校児童4人の静岡市立水見色小学校。この地域のシンボルでもある、スケートリンク。世代を超えて、大切に受け継がれてきました。

氷点下の中、朝までかけて「氷を張る」作業

今シーズン一番の寒波が流れ込んだ1月25日夜。リンクに氷を張る作業が始まりました。

夜9時に作業をスタート。深夜0時を回る頃には、気温はマイナス2.2℃。水しぶきにより、つららが目立ち始めた午前2時。交代でやって来たのは、PTA会長の勝山佳紀さん。

勝山佳紀さん:「まさに撒き日和だね」

一通り氷の状態を確認すると、早速水撒きです。

勝山さん:「一番最初、じゃぶじゃぶ水を入れても凍らないんで、薄く凍らして、バームクーヘンのように何層も何層もして、だんだん厚くしていくのが一番効率的なんで。2日かければだいぶ厚くなってくれる」

30分おきに水を撒いて、休んでの繰り返し。この作業を明け方まで続けます。

午前3時、再び水撒きです。気温マイナス2.7℃、撒いた水はすぐに凍り始めます。

昔は体育の授業がスケート

実は勝山さん、水見色小学校の卒業生。

勝山さん:「それこそ昔は体育の授業がスケートだったんで、1時間目、2時間目がスケートみたいな。自分も子どもの時にスケートして楽しんだ思い出が強いので、子どもにも水見色小学校の特色でもあるスケートのリンクをいっぱい滑ってもらいたい」

1968年から始まった、水見色小のスケートリンク。40年ほど前には現在の形になったそうです。

東の空が青みがかってきた、朝6時過ぎ。気温マイナス3.2℃。この日、最後の水撒きです。

勝山さん:「きょうの作業はここまで」

水見色小学校は中藁科小学校に統合

子どもたちの登校時間になりました。ところが、学校にその姿はありません。

水見色小の子どもたちが元気な姿を見せたのは、お隣の中藁科小学校。児童数減少のため、今年度で閉校する水見色小。来年度からは清沢小とともに中藁科小に統合されることが決まっています。

この日行われていたのは3校の児童が集まる統合に向けた“慣らし授業”。それぞれの地域の特色を発表し合いました。

閉校前最後になるスケートの日。

須藤アナ:「ただいま時刻は午前4時15分です。今シーズン最強の寒波が到来しているということで、非常に寒いです。顔や耳が寒さによってとても痛く感じます」

当日の作業は、午前3時過ぎから。

須藤アナ:「どうしてそんなに大変なことをしてまでリンクを作るんですか?」

勝山さん:「水見色小学校の伝統あるスケートリンクもそうですし、子どもたちに自分も楽しんできたスケートをやってもらいたいし。水見色でしかできない、小学校でしかできないスケートですね。楽しんでもらいたいですね」

須藤アナ「じゃあこの水撒きも閉校前最後になりますね。

勝山さん:「そうですね。あぁそう考えると…ちょっと寂しい気もありますね。まあいい思い出にもなりますけど」

スケートにかけては先生よりも児童が上手

6時過ぎから、最後の水撒きを終えました。準備は万全です。

朝7時半、いつもより早く登校した子どもたち。荷物を置くと、スケート靴を取りに一目散。いよいよ待ちに待った、スケートの時間です。

水見色の子は、みんなスケートが上手。児童全員がつながる列車が、みんな大好きです。

この日は、先生も参加。ただ、スケートに関しては子どもたちが先生役です。

先生:「あぁ~~早いよ~~」

そして、勝山さんも…。

勝山さん:「やってみようかなと」

Q.どうしてですか?

勝山さん:「子どもに負けたくないから」

長年受け継がれてきた手作りのリンクで楽しむ、閉校前最後のスケートです。

勝山さん:「(子どもたちが喜んでくれて)楽しいですね。うれしいですね。やっぱりおもしろいです。子どもと遊ぶのもおもしろいし、本当に子どもが宝だって町内の人が言ってくれてる」

5年生:「すごく楽しくてもう1回出来てうれしかったです。みんなで滑れるのが一番楽しいです」

2年生:「汽車するのが楽しかった。途中途切れちゃったけど」

3年生:「パパの時は大勢いたけど、少ない人数だから
広く使えてうれしい」

6年生:「最後にみんなと先生たちと滑れてうれしかったです」

(1月28日放送)

© 静岡朝日テレビ