村山由佳、『風よ あらしよ』映像化に感謝 「初めて観たときは最初から涙がボロボロ」

吉高由里子が主演を務めた『風よ あらしよ 劇場版』の初日舞台挨拶が新宿ピカデリーにて行われ、原作者の村山由佳、演出を担当した柳川強が登壇した。

吉川英治文学賞を受賞した村山由佳の評伝小説を原作に、向田邦子賞受賞の矢島弘一が脚本を手がけ、2022年にNHK BS4K、BS8K、BSプレミアムで放送された特集ドラマ『風よ あらしよ』。今から100年前、筆一本の力で、結婚制度や社会道徳に真正面から異議を申し立てた女性、伊藤野枝の生涯を描いた。演出を務めた柳川は『赤毛のアン』の翻訳者・村岡花子の波乱万丈の人生を描いたNHK連続テレビ小説『花子とアン』のディレクターも務めており、主演の吉高とは9年ぶりのタッグとなった。

伊藤野枝役で吉高が主演を務めたほか、平塚らいてうを松下奈緒、野枝の第一の夫、ダダイスト・辻潤を稲垣吾郎、後のパートナーとなる無政府主義者・大杉栄を永山瑛太がそれぞれ演じた。

作品をイメージした着物をまとった村山は登壇するとまず、「連載をしていた時の気持ちを思い出します。まさかこんな日が来るなんて、皆さんに映像で観ていただける日が来るなんて思ってもいませんでした。初日にお運びいただいた皆様に感謝を申し上げます。そして素晴らしい映像にしていただきました柳川さんにも。原作と映像の間にはいろいろと乖離はあるかと思うのですが、私は本当に幸運で、原作へのリスペクトをこうして映像にしていただけたということが一番の喜びです」と感謝を述べた。

柳川は、主人公であり、実在の人物である野枝について、「いつかこの人たちを映像で描きたいとずっと思っていました。でも虐殺される人物の物語であり、社会主義者のお話でもあるので、なかなか難しかった。そんな時に村山さんの本に出会えたんです」とずっと描きたかった人物であったことを述べ、村山の原作小説との出会いも奇跡的なタイミングだったことを明かす。

村山は野枝について、「本当に面白い女性なんです。あの時代に生きるのにはもったいないというか、生まれるのが早すぎたというか。でも、過去に彼女たちが活動してくれたからこそ今があると思ってます」と感謝のコメント。

野枝を演じた吉高について、柳川は「本当に魅力的に演じてくれた」と改めて感謝を述べ、「主演を演じた吉高由里子さん、僕は10年前に『花子とアン』をやりましたけど、存在感がすごく太くなったという感じがします。そして彼女を取り巻く役者のみなさん、みんな魅力的な人物を魅力的に演じてます。魅力的な人物と魅力的な演者さんをぜひ堪能していただきたいです。100年前と今を結びつけて、皆さんにどう感じていただけるかすごく興味があります。ぜひ堪能してください! あと最後の歌がすごくいいです! よろしくお願いします」とアピールした。

村山は、「2時間でこんなに中身の濃いものを作っていただけるというのは驚きでした。初めて観たときは最初から涙がボロボロ出ました。みなさんにも気持ちの中にズン、と来るものを感じていただけたらと思います」と締めくくった。

(文=リアルサウンド編集部)

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