「アユの稚魚が死んだら誰が責任を取るのか」 出水市、威力業務妨害容疑で元市議の漁協理事の告発状提出 市長「用水路工事を断念に追い込んだ。看過できない」

 農業用水路の修繕を巡り、約1時間にわたり「不適法な工事」などと発言し、工事を断念せざるを得なくなったとして、鹿児島県出水市は9日、元同市議で広瀬川漁協理事の男性(75)に対する威力業務妨害容疑の告発状を出水署に提出した。

 告発状によると、男性は2023年11月、地元の環境保全会が出水平野土地改良区の許可を得て農業用水路の土手を修繕工事中、「どこの許可をもらって作業をしているのか。許可権限は県知事にある」「生コンのあくが河川に流れ込むとアユの稚魚が死ぬ。誰が責任を取るのか」と発言。土地改良区の許可証を示したが男性は譲らず、保全会は「稚魚が死ぬなどした場合、賠償責任が発生するかもしれない」と不安にさいなまれ、工事を断念せざるを得なくなったとしている。

 椎木伸一市長は「地域のために活動する市民への極めて悪質な妨害行為であり、看過できない」と話した。男性側にコメントを求めたが、回答はなかった。

 市議会は23年12月、同漁協が市民の農業活動を妨害したり、行政の事業を正当な理由なく拒否したりした場合、市長が停止命令など「総合調整権」を行使できる議案を可決した。

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