本堂被災 取り壊し決断 本尊無事、再建目指す 七尾・願正寺

被災した本堂の取り壊しを決断した三藤住職=七尾市桧物町

 七尾市桧物町の真宗大谷派願正寺は、地震で被害を受けた築約160年の本堂を取り壊す。本尊は住職に就いたばかりの三藤了映さん(42)が地震後に「救出」したが、釣り鐘堂や墓は倒壊。被災した門徒が多く先が見えないが、自宅に本尊を仮安置して寺の再建を目指している。

 地震発生時、三藤住職は本堂内で大みそかの片付けをしていた。大きな揺れを感じて外に避難して間もなく、本堂の天井から木材が落ちてきた。家族と高台に避難したが寺にすぐ戻り、暗闇の中で本尊と納骨堂にある遺骨を運び出した。

 本堂は門徒が集まるだけでなく、前住職の三藤観映さん(77)=県書美術連盟常任理事=が主宰する「映(えい)心会(しんかい)」のメンバーが活動したり、ジャパンテントで訪れる留学生が書道を体験したりする場でもあった。

 11日には本堂に別れを告げる場を設ける。了映住職は「寺を守れず悔しい。いつになるか分からないが、有事の際に避難所に活用できる寺として再建したい」と力を込めた。

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