金沢からパリ目指す トランポリン・森選手 金沢学院大クラブ復帰

金沢に拠点を移した森選手=金沢学院大第3体育館

  ●2年ぶり、金沢からパリ目指す

 トランポリンの世界選手権を2度制した森ひかる選手(24)=金沢学院大OG=が金沢から今夏のパリ五輪出場を目指すことになった。すでに生活拠点を東京から移し、元五輪選手で恩師の丸山章子さん(50)=金沢学院大スポーツ科学部教授、日本体操協会トランポリン女子強化本部長=が指導する金沢学院大クラブに2年ぶりに復帰。森選手は北國新聞社の取材に「パリでメダルを取るには金沢に来るしかないと考えた」と決意を語った。

 森選手は2019年の世界選手権で初優勝し、21年の東京五輪は予選落ち。大学卒業後の22年4月にTOKIOインカラミと所属契約を結び、東京で練習を続けてきた。環境を変え、指導者も代えた。東京五輪銅メダルのブライオニー・ページ(英国)を頼りに単身渡英して修行し「人としても大きく成長できた」と振り返る。

  ●「全てを捨ててでも」

 だが「このままでは世界の上位3人には勝てない」とも考えていた。3人とは、中国の2人と友人でもあるページだ。「丸山先生が指導してくれるなら、全てを東京に捨ててでもついて行こう」と金沢行きを決意した。今後はTOKIOインカラミと金沢学院大クラブの双方に所属となる。

 金沢は、金沢学院大附高から同大卒業まで7年間住んだ思い出の地。「豊かな自然やお寿司も好き」と2年ぶりの金沢暮らしを楽しみにしている。ただ、就職で地元を離れてしまった親友もおり「それが一番の問題。友達募集中です」と笑った。

 五輪代表枠獲得のポイントレースでは日本人トップにつけている森選手。金沢学院大で新たに建設された第3体育館はトランポリンが常時8台並ぶ。練習動画をすぐ再生できるシステムも充実し「以前より環境は格段に良くなった」という。

 能登半島地震の発生時は都内の自宅で昼寝中だった。被害の大きかった輪島市には合宿で滞在し、朝市にも出掛けたことがある。「輪島でお世話になった方の力になれたら」との思いを抱いている。

 今月中旬にはアゼルバイジャンでのワールドカップバクー大会、5月には代表を決めるトランポリングランドチャンピオンシップ(TGC)を控える。森選手は「東京で教えてくれたコーチやトレーナーには感謝している」とし、「覚悟を持って金沢に来たからにはトランポリンに打ち込みたい」と意気込んだ。

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