エレベーター 外に出る際に【閉】ボタンを押してませんか?
エレベーターから降りる際に、「乗り合わせた人が早く目的の階にたどり着けるよう」にと、【画像①】のように手を伸ばして【閉】のボタンを押してから降りる、ことはありませんか?
あなたは、降りる際に「【閉】ボタンなど押していない」?「押している」??手っ取り早いところで、弊社(RSK山陽放送)内でインタビューしてみました。
(社員A)
「同乗者が急いでいるだろうから、押して出る。誰に教わったでもなく、誰かがしているのを見たからかな?」
(社員B)
「乗っているのが自分一人だったら押す。他の階で待っている人がいるかも、だから」
(社員C)
「僕はめったにしませんが、する人がいたら『気遣いが出来る人だなぁ』と思います」
筆者自身は、物心がついたころから...は、さすがにしていませんが、ある程度の社会的なマナーが身に着いてからは、それがマナーかは分かりませんが「小さな親切」のつもりで、【画像①~③】のように
①【閉】ボタンを押し
②伸ばした手を【閉】ボタンから引っ込めて
③エレベーターの扉に挟まれないようにササッと立ち去る
ことを続けて早幾年です。
そんな、すでに無意識レベルで押していた、出る際の【閉】ボタン。
何とその「小さな親切のつもり」行為が、実は「大きなお世話なのでは」説が浮上してきました。それは、会社内での会話からポッと出てきました。
「それ、逆にドアが閉まるのが遅くなっているらしいよ」
え?!マジですか??これまでの自分の中での「常識」が、ガラガラッと音を立てて崩れ去った瞬間です。そのかけらを拾い集めても、もう元には戻らない。。。
エレベーター会社に聞いてみた「ボタンを押した事実が無効になる」とは??
ならばその真偽を確かめてみよう。。。弊社は地上5階地下1階建てで、エレベーターは2基あります。そのエレベーターの内部に表示されているのは、「HITACHI」の文字(【画像④】)。
さっそく後輩記者が、「HITACHI」「エレベーター」で検索して出てきた日立ビルシステムさんに問い合わせをしてみたところ(【画像⑤】)、広報の方が、社内で担当の方に情報収集をしてくださって快く応えて下さいました。
――【閉】ボタンを押すと、逆にドアが閉まるのが遅くなるって本当ですか?
「結論から言いますと、『遅くなる』ということはありません。ただ、『【閉】ボタンを押した』という事実が無効になってしまいます」
――(む、無効になる??)といいますと?
「『【閉】ボタンを押しながらエレベーターから降りる』ということは、『後ろ手でボタンを押す』ことになると思います。このとき、ボタンを押している腕はドアの間を通っていて、これが 『センサー』に反応しています」
「そのためドアとしては、『【閉】ボタンを押さずに、普通に体がドアを通過している状態』と同じとなり、『【閉】ボタンを押したことが無効となる』状態です」
つまりは、【画像⑦】のような状態になっている瞬間に、センサーが腕に反応しているというのです。
ご存知でした?「ドアには何十本ものセンサーがある」
――エレベーターのドアについている「センサー」というのは、どのようなものなのでしょうか?
「エレベーターのドアは、『乗り場側』と『かご側』の2枚組になっています。その間に何十本ものセンサーが張り巡らされているんです」
担当の方は【画像⑧】のような、非常に分かりやすいイメージ図を提供してくださいました。すごい、ビームが張り巡らされている!
「センサー自体は、片側から光が出て、もう片方が光を受信する、という仕組みです。糸のような細長い形で、さまざまな角度でついているので、センサーをかいくぐってエレベーターから出るというのはまず不可能かと…」
その画像を見れば見るほど、「ルパ~ンⅢ世」「ミッション・インポッシブル」でよく見る、避けながらかいくぐるアレみたいです(【画像⑨】)。
いつ頃作られたエレベーターから、ドアに「複数のビーム」が?
――ちなみにエレベーターに一般的にこのような「センサー」が装備され始めたのはいつ頃なのでしょうか?
「前述のとおりの『片側から光が出て、もう片方が光を受信する』という仕組みのセンサー自体は、1970年代のエレベーターからすでに装備されていました。しかしこの時代のセンサーは、ドアに1つ、形も豆電球のようなものでした」
「現在のようにセンサーが細長く何個もついたのは、1990年代ごろからでしょうか。現在では、ほとんどすべてのエレベーターで標準装備となっていると思います」
なるほど。約30年前にはこの技術が導入されていたのですね。
「思いやりの心」否定はしません!が...
――そもそも、この「降りる前に【閉】を押す」という文化についてはどう思われますか?
「他の階で待っている人や、エレベーターに乗り合わせた人の待ち時間を少しでも短くしよう、という『思いやりの心』からくる行為ですよね。このような行為を見ると、『優しい人だな』と思うこともあると思います」
「また、この行為自体が『エレベーターの故障の原因となる』などの悪影響があるわけでもないので、積極的に否定するものではありませんが…」
「…とはいえ、『【閉】ボタンを押しながら降りる』ようにしても、早くドアが閉まることはないので、『慌てず、普通に降りる』のがいちばんかと思います。安全上のことを考えても」
結論!出るときは「慌てず普通に降りましょう」
という訳で結論としては、新しそうなエレベーターでは、出るときに【閉】ボタンを押しても早くドアは閉まることはない。。。
だからと言って、【閉】ボタンを押して出る人がいても「それ、意味ないんですけど!!」と目くじらを立てて否定するのではなく、「優しい人なんだな」と温かい目で見守ってあげる。
それが同僚でしたら、機会があったら教えてさしあげて「え、マジですか?!」とその場がちょっと盛り上がる、、、くらいで如何でしょうか。
日常の些細なひとコマですが、ちょっと覚えておくといい豆知識でした。
撮影場所:RSK山陽放送
モデル:たまたま夜、社内に残っていた杉澤眞優キャスターと、帰宅しようとしていた古米沙世リポーター