意外?なお仕事「プラモデル製作代行」をする男性。どれぐらい稼げるのか聞いてみた

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プラモデルを趣味にする人は多い。車や船、電車、飛行機、ガンダムから建築物までバリエーションは幅広いが、その醍醐味は自分自身で組み立てるところ……だと思ったのだが、世の中にはプラモデル製作代行業なんてものもあるそうだ。なぜ愛好家は製作代行を頼むのか。実際に製作代行を請け負っているという男性に話を聞いた。(取材・文:広中 務)

「積みプラ」という概念

現在40代の男性が、製作代行を請け負うようになったのは、5年ほど前からのこと。

「プラモデルの愛好家には、買っただけで満足して、箱が積み上がっていく人が多いんです」

プラモデルの価格は、子どもにも手が届く範囲に設定されていることが多い。その一方で、完成にはかなりの時間がかかる。それゆえ、買う速度が完成速度を遥かに上回ってしまうのだ。面白そうな本を買うけれども読みきれない「積読」のプラモデル版、「積みプラ」である。

実は男性自身も、「積みプラ」をしてしまっていたという。なぜ、そこから製作代行に?

「思い切って趣味をやめたんですよ。部屋のけっこうな面積をプラモデルが占領しているのに、いい加減嫌気がさしたからです」

そう。プラモデルのパッケージには目立つ絵柄も多く、かなりの存在感がある。特に数が重なってタワー状になると、なおさらだ。仮に完成状態に持っていけたとしても、きちんと飾るためには棚やケースなどそれなりのスペースが必要だ。

そうして男性は、コレクションのほとんどを処分し、新たに買うのを辞めた。ただ、「辞めた」といっても、プラモデルそのものが嫌いになったわけではなかったという。

知人からの依頼がきっかけ

「ちょうどそのタイミングで、知人からプラモデルを代わりに作ってくれないかと頼まれたんです。ガンダム好きなので買ってはみたけど、どうにも手がでないというので」

ちょっとマニア寄りな話になるが、この時に依頼されたのはガンプラのRG(リアルグレード)モデル。男性にとっては、難なく組み立てられるものだった。

「そんなに苦労しなかったので、代行費で3000円を受けとりました。それ以来、人づてで依頼が来るようになったんです。これなら、組み立てる楽しみだけ味わえて、部屋が狭くなることもないなと思って」

男性が引き受けているのは、キットを組む「素組み」や「部分塗装」などの基本的な部分。だいたい3000〜5000円程度で引き受けているという。ここは男性にとって「もっとも楽しい部分」ということで、「なぜ、そこを人に任せちゃうのかは謎ですね」と話す。

逆に、複雑で難易度が高すぎたり、時間のかかりすぎる依頼は断っているそうだ。

「ガンプラは自分も慣れてはいますけど、何度かMGとかPG(パーツが多く、機体の細部まで表現されている高級プラモデル)を頼まれたことがあって……さすがに仕上がりに責任が持てないので断りました」

気になる「稼ぎ」は?

副業としての「コスパ」はどんな感じなのだろうか?

男性によると、「あくまで、仕事の合間に趣味でやっているもの」にすぎず、「毎月の売上は1万円に満たない程度」だという。時給換算を始めたりすると微妙となるが、組み立てる楽しみを同時に味わえるので、男性の中では帳尻があっているのだろう。しかし、大金ではないにせよ、お金をもらうとなると、プレッシャーで楽しめなくなるのでは?

「だから、納期は長めに取ってあります。一度、早く欲しいといわれたので、断るつもりで3万円をふっかけたら、払う人がいて……なので、今は納期が長いことを最初に必ず言っています」

なるほど、そのあたりは納期設定の加減で、うまく調整しているということだ。

ところで、この副業には思わぬ「副作用」があったようで……。

「実は、結局またプラモデルを買うようになっちゃっていて……。きっと、また箱が積み上がっていくなと危機感を持っています」

あらまあ。なんとも業の深い趣味であることよ。

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