【スターシアターズ・玉城愛鈴の映画コレ見た?】僕らの世界が交わるまで 2人の痛々しさに共感

 「私はきっと、いい親になれない」。そう言ったのは小学校教諭である私の友人。もし子育てをするようになったら、目についた全てに口出しすることを危惧していた。

 本作は、DVシェルターを運営する母エヴリンと、インターネットのライブ配信で人気の高校生ジギーの親子関係を描くヒューマンドラマ。親子といえど、社会奉仕に身をささげる母親と、自分のフォロワーのことしか頭にないZ世代の息子では、価値観や感覚はどうしても合わない。

 もはや理解し合うのは無理なのでは、と絶望的な親子仲を見ているうちに気付く。この2人、気になる相手へのアプローチと空回りっぷりがそっくりなのだ。お互いを理解できなくても、大切なのはお互いを知ることだ。

 私はちょうど2人の中間の年齢なので、どちらの痛々しさにも共感しつつ、不思議な優しさに包まれる心地よい映画であった。(スターシアターズ・玉城愛鈴)

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