「選手を並べているだけ」韓国人記者が糾弾したクリンスマン監督の“放任采配”「韓国式の指導も必要」【現地発】

優勝候補の一角としてアジアカップに挑んだ韓国代表は、準決勝でヨルダンに0-2でまさかの敗北。64年間も遠ざかっている戴冠にまたしても手が届かなかった。

最大の戦犯として批判を浴びているのがユルゲン・クリンスマン監督だ。戦術家ではなくモチベーターであるドイツ人指揮官は、クオリティの高い選手を戦術的に機能させられず、個の力に頼りきっている印象が否めなかった。

実際、疲労困憊のソン・フンミンとイ・ガンインが精彩を欠き、キム・ミンジェが出場停止だったヨルダン戦は、攻守ともに散々なパフォーマンスだった。

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韓国の大手紙『中央日報』などに寄稿しているホン・ジェミン記者は、「クリンスマン監督の周りにいる人はみんな彼を好きになる」と人間性を評価したうえで、「選手を並べているだけ」とその手腕を疑問視する。

「(クリンスマンは)ヨーロッパでプレーしている選手たちは、細かい指示を出さなくても、みんな自己解決できると思っている。ただ、チームがうまくいっていない時は、上から指示をする、韓国式の指導も必要なんです」

ただ、指揮官は韓国サッカー協会の会長との関係も良好で、解任はないという。韓国に帰国後の会見でも辞任を否定し、たびたび非難の的となっている代表活動期間以外はアメリカの自宅で過ごすスタイルも「変えるつもりはない」と断言した。

同記者は「その働き方を指摘しなければいけない時点でおかしい」と嘆いた。

ベスト8で散った日本代表も、敗れたイラン戦後に、MFの守田英正が「もう少し外から指示がほしい」と声をあげた。日韓ともに、抱えているのは同じ悩みなのかもしれない。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)

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