「被災者とともに演じたい」阪神・淡路大震災2カ月後にコンサート 「世界のオザワ」神戸に確かな足跡

阪神・淡路大震災から10年の節目に行われたメモリアルコンサートでタクトを振るった小澤征爾さん=2005年10月17日、神戸市中央区

 88歳で亡くなった世界的指揮者の小澤征爾さんは、神戸との関わりも深く、29年前の阪神・淡路大震災直後には、被災した子どもたちを励ますコンサートを開いた。

 1995年3月、当時の神戸山手女子短大(神戸市中央区)の体育館。小澤さんは「被災者とともに演じたい」と希望し、会場中央に高さ30センチほどの台を置いただけのステージを設けた。集まった親子連れ約1500人に囲まれながら「追悼のため、バッハのアリアを演奏したい」と話すと、指揮後は直立不動で目を閉じ、震災犠牲者に黙とうをささげた。

 震災10年の2005年10月にも同じ場所でタクトを振った。10年前と似たような簡素な舞台で、コンサート名は「あの日を忘れない」。選曲も同じだった。

 10年秋には若手音楽家を育てる「小澤征爾音楽塾」の演奏会を神戸で企画。11年2月の開催に向けて「たくさんの思い出がある神戸でのコンサートが楽しみ」と話していた。

 兵庫県立芸術文化センター(西宮市)の芸術監督で指揮者の佐渡裕さんも、小澤さんに師事した。(有島弘記)

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