世界自然の島、奄美大島と徳之島で希少動物の交通事故死が過去最多 環境省「個体数の増加が影響か」

道路脇でえさを探すアマミノクロウサギ=2023年11月17日、奄美市住用

 環境省は9日、鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息する希少動物の2023年の交通事故死が過去最多になったと発表した。国指定特別天然記念物アマミノクロウサギは175匹(前年比27匹増)、国指定天然記念物ケナガネズミは65匹(同29匹増)と大幅に増えた。

 共に増加傾向が続いている。外来種の対策が進み、ドングリの豊作も重なって個体数が増えた影響が考えられるという。

 事故対策は「奄美・沖縄」世界自然遺産登録時に課題として指摘されていた。多発地帯で道路への侵入防止用ネットを設置するなどしたが、追いついていない現状が浮き彫りとなった。

 クロウサギは奄美大島が147匹(前年比40匹増)で過去最多、徳之島は28匹(同13匹減)で2番目。奄美大島は交通量が多い国道や県道、徳之島は徳之島町手々周辺が約半数を占めた。

 ケナガネズミ(速報値)は奄美大島が59匹(同32匹増)と倍増し最多、徳之島が6匹(同3匹減)で過去3番目。奄美市名瀬市街地でも目撃例や事故が目立った。

 同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「防止ネットなどハード整備の効果は限定的で、安全運転をしてもらうことが一番の対策になる。住民と協力し、事故を減らしたい」と話した。

〈関連〉道路近くに現れるケナガネズミ=2023年11月17日、奄美市住用

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