娘が「大学進学」を希望していますが、女の子ですし高卒で就職して早くに結婚して欲しいと考えています。夫の年収も「300万円」程度ですし難しいですよね…?

大学への進学率は男女ほぼ半々

文部科学省の「令和5年度学校基本統計結果」によると、大学生に占める女子学生の割合は45.7%となっており、過去最高値を記録しています。大学生のほぼ半数が女子ということであり、「女の子だから」という理由で進学を検討すること自体、不思議に思われる時代となっているのではないでしょうか。

高卒と大卒の生涯賃金差

次に、高校を卒業してすぐに働きだした人と、大学または大学院を卒業してから働きだした人の生涯賃金差を見ておきましょう。「ユースフル労働統計2022」によると、学校を卒業してから60歳まで正社員で働いた人の生涯年収は図表1のとおりとなっています。

図表1

独立行政法人労働政策研究・研修機構 21生涯賃金など生涯に関する指標|ユースフル労働統計2022

高校卒女性の生涯賃金は1億4960万円であるのに対して、大学・大学院卒の女性は2億1240万円となっており、働いた年数は4年以上差があるにもかかわらず、生涯賃金の差は6280万円にもなるようです。
さらによく見てみると、中学卒と高校卒の生涯賃金はほぼ同じ、高校卒と高専・短大卒でも2300万円程の差ですが、大学・大学院になると途端に差が開いていることがわかります。

女性の生涯未婚率は17.85%で年々増加中

2020年に行われた国勢調査によると、日本の生涯未婚率は男性28.25%、女性17.85%となっており、年々増加しています。未婚が増える要因はさまざまですが、女性の社会進出が進んだことによって、「結婚を選択しない女性が増えた」というのもあるでしょう。

進学によって人生の選択肢が広がる

男女関係なく大学などの高等教育機関へ進み、学力や経済力を付けることにデメリットは少ないのではないでしょうか? 結婚をしたとしても、3組に1組が離婚する現代です。万が一に備えて、自分で生きていく力は必要でしょう。

一概にいえることではありませんが、高等教育機関へ進学すれば、高校卒よりも生涯年収は上がり、就ける職業も広がる可能性が高くなります。進学は、子どもの人生のあらゆる選択肢を増やすきっかけになるでしょう。

高等教育の修学支援新制度を利用しよう

ここ数年、政府の子育て支援が活発化しています。
2020年4月には、新しい給付奨学金・授業料等減免制度がスタートしており、年収300万円の世帯であれば高等教育にかかる学費の大部分にたいして国から支援が受けられる可能性が高いです。対象となる年収は家族構成や年齢などによって異なるので、「うちは違うかな?」と思う場合でも取りあえず確認してみるとよいでしょう。

まとめ

「女の子だから高卒で就職して結婚したらよい」という考え方は、少し古いかもしれません。特に、今は高等教育への支援が手厚くなっています。年収300万円であれば支援を受けられる可能性が高いので、利用できる制度がないかなど確認してみましょう。

出典

文部科学省 令和5年度学校基本統計結果の概要
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2022生涯賃金など生涯に関する指標|
総務省統計局 令和2年国勢調査
文部科学省 高等教育の修学支援新制度

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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