<吉野ケ里散策>「フィーバー」から35年 発掘は継続、新発見続く 

発掘中の日吉神社跡地

 今から35年前の1989年2月23日、全国に「魏志倭人伝の記述を彷彿(ほうふつ)とさせる遺跡」として吉野ケ里遺跡が報道されました。その後約2カ月間で100万人を超える見学者が訪れ、翌年には国の史跡に指定。そして91年、学術上の価値が特に高い特別史跡に指定されました。

 しかしこの時、現在の吉野ケ里のシンボルとなっている巨大な主祭殿を中心とする北内郭はまだ発見されていませんでした。89年10月に仮整備として物見やぐらや竪穴住居、高床倉庫が復元されてからは、映画やドラマ、ドキュメンタリー、バラエティー番組などのロケに多く使われ、吉野ケ里遺跡のイメージも広がりました。

 ただ、遺跡の本格調査は大報道の3年前から始まっていましたので、もう38年になります。発掘研究はまだ続いていて、新事実が常に発見されます。来園されたお客さまも報道をよく見られていて、現場を紹介するのも楽しみです。長期にわたって調査研究が続いているというのは、吉野ケ里遺跡の大きな魅力なのではないかと思います。(吉野ケ里ガイド・福田幸夫)

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