越後Wineヒラメ ワイン搾りかすで養殖 上越市の料理店などに出荷 海洋高

1キロ前後に育った「越後ワインヒラメ」。外見は一般的な養殖ヒラメと変わらないが、うまみが強いという

県立海洋高水産資源科資源育成コースの生徒が、ワイン工場で赤ワインを醸造する際に出た搾りかすを養殖ヒラメに与え、ブランド化を図っている。「越後Wine(ワイン)ヒラメ」と名付け、上越市内のイタリア料理店に出荷している。

6日、糸魚川市の能生漁港にある同校の実習棟で出荷が行われた。生徒たちは30カ月かけて1キロ前後に育てたヒラメを水槽から出し、氷水で締めて箱に詰めた。外見は一般的なヒラメと違わないが、試食したことがある生徒たちは「甘みがあり、うまみが強い」と口をそろえる。

養殖にはブドウの搾りかすを提供している岩の原葡萄園(上越市北方)と長岡技術科学大が協力。同大はヒラメの身に起こる変化やアミノ酸含有量などを調査している。

搾りかすは、練り餌の表面にまとわせて与える。与える期間は出荷前の1、2カ月。指導する貝田雅志教諭は「搾りかすに含まれるポリフェノールをヒラメが摂取することで、抗酸化作用(鮮度保持効果)が期待できると考えた」と話す。

ヒラメを仕入れる料理店の評判も上々だ。イタリア料理店「ラ・ペントラッチャ」(上越市下門前)を経営するクオルス(同)は上越、新潟、東京・青山の3店舗でメニューに加えている。横井穂高料理長は「(魚を)おろしてすぐに食べてもアミノ酸が豊富だ。今までと別物と言ってもいい」と評価する。

搾りかすを養殖魚の餌として与える取り組みは、山梨県でも行われている。貝田教諭は水産物の高付加価値化を検討するうち、岩の原葡萄園のブドウに行き着いた。「酒かすを与えたヒラメも養殖している。ブドウの搾りかすも酒かすも捨てられてしまうものだが、養殖に効果があると分かった。持続可能な開発目標(SDGs)にも資する取り組みだと思う」と話している。

「ラ・ペントラッチャ」で提供しているカルパッチョ

© 株式会社上越タイムス社