「流氷の上に乗らないで」網走市が観光客に注意喚起 担当者「大変危険な行為…本当におやめください」

網走市観光課の公式X(スクリーンショット)

「本当におやめください」ーー北海道網走市の観光課が公式SNSに投稿した観光客へのお願い。それは「流氷の上に乗らないで」。

同課担当者は流氷観光が最盛期を迎えた2月初旬、公式X(@tabi_abashiri)を更新。「網走は流氷観光の真っ只中、今年は流氷の勢力も好調で海岸まで流氷が押し寄せてきています。思わず流氷の上に乗ってしまう方がいらっしゃいますが、『流氷の上に乗ることは大変危険な行為です!』乗った流氷ごと沖に流されたり、流氷から海に転落すると命の危険にさらされます。どうか流氷の上に乗ることはおやめください」と注意を呼びかけました。

担当者「今年は流氷に乗っている方が多いようです」

同課の担当者に話を聞くと、岸に着いた流氷の上に乗ろうとするのは観光客がほとんどのようで、「網走海上保安署からもお聞きしましたが、市民からの通報で今年は流氷に乗っている方が多いようです。おそらく多くの方は、観光客だと思います。こちら地域の住民は流氷に乗ることは危ないという意識があります。流氷に乗ることは大変危険な行為です」と強調します。

2月は流氷観光の最盛期(網走市観光課提供)

実際にはどんな危険が。「風や潮の満ち引きで思いのほか流氷が移動することや崩れてしまうこともあります。数年前には流氷の乗ってしまった大学生が流氷ごと沖に流されてしまうという事象が発生しております」。

2020年12月、写真撮影に訪れていた大学生が、流氷に乗ったまま15メートルほど沖に流されるという事故がありました。30分ほど漂流したのち、運良く風向きが変わって流氷は消波ブロックに接岸。自力で岸に上がることができました。しかし、海に落ちていたらーー。

「真冬のオホーツク海の海水温からしますと、すぐに低体温症に陥ることは簡単に想像できます。海域全体が流氷に覆われていますと、救難に行くことも難しいかと思います」(同課担当者)

では流氷を楽しむには。同課では「流氷は乗って楽しむのではなく、『網走流氷観光砕氷船おーろら』や『JR釧網本線流氷物語号』からの景色をお楽しみください。ガイド付きのツアーで流氷カヤックや流氷ウォークもあります。知床の流氷ウオークでしたら、ドライスーツを着て、流氷の海に浮かんで楽しむことも可能です」と案内しました。

網走流氷観光砕氷船おーろら(網走市観光課提供)

気象庁によると、海に浮かぶ氷の総称を海氷とし、海氷のうち、海を流れ漂い、海岸に定着していないものを流氷と呼びます(国際的には海水が凍結したものだけを流氷とすることもある)。

第一管区海上保安本部(北海道)では、北方海域での船舶等の海難を防止するために、海氷情報センターを設置。海氷の分布や動向を把握し周知する活動を続けています。同センターによると、視界内の海面に初めて流氷が見えた日を「流氷初日」としており、今季の網走での流氷初日は1月20日でした。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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