『いちばんすきな花』で注目された上坂樹里「高校卒業後の夢は映画出演」

事務所の晴れ着お披露目会のあと、艶やかな振袖姿で現れた上坂樹里にインタビュー! 現在18歳のフレッシュな彼女が注目を浴びたきっかけの一つは、昨年10月クールに放送されたフジテレビ系の連続ドラマ『いちばんすきな花』の第8話だ。田中麗奈が演じた志木美鳥の中高生時代を演じ、たった1話だけの登場であるにもかかわらず、役柄の孤独感を鮮烈に表現した彼女の演技に「あの子は誰?」と騒然となった。

そもそもはモデル志望だったという彼女だが、今は演技に最も力を注いでいるとか。そのきっかけとなったエピソードをはじめ、俳優としての目標や卒業を目前に控えた高校生活などプライベートの彼女にも迫った。

▲上坂樹里【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

日本文化に興味があり書道と硬筆を習っています

――今日は、上坂樹里はどんな人? という自己紹介的なインタビューをしたいと思っています。まずは今着ている美しい晴れ着の感想をお聞かせください。

上坂:晴れ着お披露目会に参加するのは今回が初めてなんです。18歳という新成人になったタイミングで、こんなステキな振袖を着させていただいて、先輩方とご一緒の会に参加できてすごくうれしかったです。

――これまで晴れ着を着た経験はあったんですか?

上坂:モデルの仕事で何度かあります。つい最近も、専属モデルをしているセブンティーンで、同年代のみんなで振り袖を着る機会があったばかりです。でも、こういう晴れ着の会は初めてなので、今までとは全然違う心意気で臨みました。

――今日の晴れ着はご自身で選んだんですか?

上坂:はい。私は洋服でも赤を選びがちなんです。晴れ着だと、赤は華やかさがすごく出ますよね。この振袖は少し渋めの赤で古典的な柄なんです。いい意味で現代っぽくないところに惹かれて選びました。

――日本の伝統的なものに興味があるんですか?

上坂:そうですね。今は書道と硬筆を習っていて、日本文化に普段から興味があるので、今風じゃないものに惹かれがちです。

――それはステキですね。絵馬には「前進」という言葉を書かれていましたが、どういう意味合いで?

上坂:2024年に高校を卒業します。今は実家暮らしで両親に頼りがちなので、自立する意味でも前進したいなと。お仕事の面でも、昨年は初めての経験が多い学びの1年だったので、それをしっかり活かした年にしたいなと思ってます。映画に出演する目標もありますし、女優として次のステージへ一歩進みたい意味も込めて「前進」と書きました。

キラキラしたアイドルに憧れて芸能界へ

――現在セブンティーンのモデルとしても大活躍中ですが、そもそも芸能界に入ったきっかけは?

上坂:最初からモデルを目指していたわけではなく、小さい頃はアイドルに憧れてテレビに出演したいと夢見てました。小学6年生のときに、母の知り合いからオーディションを紹介してもらって初めて受けたのが、今の事務所のオーディションだったんです。

――初のオーディションですぐに受かったとはすごいですね。好きなアイドルはいましたか?

上坂:幼稚園の頃、前田敦子さんや大島優子さんがセンターだったAKB48が大人気で、本当にキラキラして見えてすごく憧れていました。

――憧れていた世界に入れるとなったときの最初の気持ちは?

上坂:「現実なのかな?」って(笑)。夢を見て憧れていたとはいえ、リアルになるとは想像していませんでした。最近でも地上波のドラマに出て、その自分をテレビで見ることが本当に信じられず、本当に夢のある世界だなって思います。

――そこからお芝居に興味を持ったきっかけは?

上坂:事務所に入った当初はモデル志望でしたが、初めてお芝居のレッスンを受けて、“お芝居のほうが好きかも”と思うようになり、女優になるという夢を持ちました。

――どんなレッスンをしてそう思われたのですか?

上坂:2人1組になって演技をするレッスンです。そこで、自分以外の誰かを演じることや、自分自身ではできないことを役として体験できることの楽しさを初めて知り、表現するって楽しいなって。事務所に入ってすぐの中学1年の頃でした。

――憧れている女優さんはいますか?

上坂:清原果耶さんです。清原さんがニコラのモデルをしていた頃から、イチファンとしてとして大好きです。雑誌で見る清原さんとドラマに出演されている清原さんは全然違う人に見えて、すごくかっこいいなって。今もずっと憧れです。

――最初にお芝居の仕事をしたのは?

上坂:高校1年生のときで、LINE NEWSの『VISION』のショートドラマです(『可愛くなったらさようなら』主演)。現場では何したらいいのかわからないことだらけで。キョロキョロしながら「短い映像でもこんなに時間がかかるんだ!」と驚きました。舞台裏の大変を知り、さらにやる気が湧いて気合いが入りました。

――とまどいながらも、めげるのではなくて逆にやる気が湧いた理由は?

上坂:撮影は大変ですし悩むこともあるんですけど、誰かに見てもらって感想をもらったり、表現力について褒めていただくと、すごく幸福感に包まれるんです。単純にお芝居をする楽しさが一番にあるので、楽しみながら学ばせてもらっています。

反響がスゴかった『いちばんすきな花』

――これまでの出演作で、印象に残っている現場を教えてください。

上坂:NHKのドラマ『生理のおじさんとその娘』(2023年3月24日放送)です。初めて地上波のドラマに出演した作品です。オーディションに向けていろいろ準備したことも印象深いですし、初めてのことを一気に経験したので吸収したものが多く、その経験が今や次につながっていると実感しています。

――具体的に、どういうことが勉強になったんですか?

上坂:カットがかかった瞬間、共演者の皆さんはすぐにモニターを見に行かれていて。私は自分が出ているものを見るのが恥ずかしくて、声も聞きたくない気持ちがあったんですが(笑)、自分のお芝居を見て分析しないと成長しないなと。そして、現場の空気感についても学べました。自分がどう動いたらいいのかなど、お芝居以前の話ですけど、仕事をするうえでの気持ちのあり方みたいなこともたくさん学びました。

――その経験があったからこそ、『いちばんすきな花』であれだけ印象に残るお芝居できたんですね。

上坂:『いちばんすきな花』もオーディションで決まったんですが、自分なりに作品の世界観を壊さないように心がけて、準備して撮影に臨みました。

――孤独感を背負った女の子の役でしたが、どういうふうに役作りをしましたか?

上坂:気をつけたのは、無駄に口角を上げないことです。普段の私は無意識にニコニコしちゃうんですが、監督からは「家を描いてるときに初めて笑ってほしい」と言われていたので、そこを一番意識しました。

どこか影のある女の子なので、例えば、(今田美桜演じる)夜々ちゃんが小さい頃のシーンではお姉さんらしく見せるけど、ふとした瞬間にスッと自分に戻ったりとか、そういう細かい部分をセリフではなく、表情や姿で見せたいと思い演じました。

――現場で手応えはありましたか?

上坂:手応えは……正直なくて(笑)。すでにある世界観に自分が飛び込んだ形だったので不安でした。でも、放送後にたくさん感想をいただけてうれしかったし、今までで一番、知り合いから連絡が来ました。ほとんどの友人が私が出ると知らずにドラマを見ていてビックリしたようですが、「良かったよ」と言ってもらえてうれしかったです。

落ち着いた性格になったのは書道のおかげ?

――お芝居をしていて、「ここが一番楽しい!」と思える部分は?

上坂:自分ではない誰かを演じる楽しさです。例えば、私自身、普段は静かで落ち着いているんですけど、役柄では気が強くもなれるし、明るくもなれる。お芝居を通して自分にはない人格になれるのはすごく楽しいです。

――映画に出るのが夢と先ほど言っていましたが、それが今一番の目標ですか?

上坂:一番の夢は、朝ドラのヒロインで、映画出演は直近の目標です。私は映画が好きで、映画館で見ることにこだわりがあって、時間が空いたら一人でも見に行きます。だから、あの大きいスクリーンで自分を見ることが夢なんです。一番好きな映画は、洋画の『グランド・イリュージョン』。本が好きでミステリーをよく読むので、種明かしがあるワクワクする映画が好きです。

――硬筆や書道、読書が趣味とは大人っぽいですが、これまでで一番ハマっていたのはなんですか?

上坂:書道です。しっかり習い始めたのは高校1年生からなんですが、単純に文字を書くことが本当に好きです。

――書いているときはどういう心持ちですか?

上坂:無です。精神統一するには書道が一番!

――では、日々のリラックスにもつながっている?

上坂:なります。書道をする時間は決めていませんが、午前中や朝が多いです。

――小学生時代は新体操をしていて、小学校で児童会長、中学校でも生徒会長の経験があるんですよね。

上坂:小学校の頃は男の子みたいでした。外でひたすら遊んで怪我して帰ってくるようなやんちゃな子で、今とは全然違います。なんでこんなに落ち着いたんだろう?(笑) 今は人見知りなんですけど、小学校の頃は誰にでも積極的に話しかけていました。

――学校でも目立っていたのでは?

上坂:進んで自分から前に立って発言していました。なのに、高校生ぐらいから急に落ち着いちゃって。書道のおかげかな?(笑)

――今は高校3年生。もうすぐ卒業ですね。どんな高校生活でしたか?

上坂:本当にあっという間でした。いろんな出会いもあり、経験もあり、振り返ると良い3年間だったと思います。でも、1人で本を読んでいるタイプなので、振り返ると高校生らしいことはあまりしてなかったかな。本当に落ち着いた日々を真面目に過ごした高校時代だったんです(笑)。

――卒業してからのプライベートでの夢はありますか?

上坂:車の免許を取りたいです! でも、母からは「危ないからダメ」と言われていて。免許が取れたら海に行きたいです! 江ノ島の海がいいですね。

(取材:本嶋 るりこ)


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