サイコロと駒、東北初セットで出土 すごろく遊び証拠か 室町-戦国期前半 青森県南部町・聖寿寺館跡

聖寿寺館跡から発掘されたすごろくのサイコロ(右端)と駒

 南部町教育委員会は9日、北東北最大の戦国大名・三戸南部氏の中心的城館だった国史跡・聖寿寺館跡(しょうじゅじたてあと)(青森県南部町)から本年度調査で県内3例目となるサイコロが出土したと発表した。2015年に出土していた駒と合わせ、同館内ですごろくが行われていた証拠とみられる。サイコロと駒がセットで出土したのは東北初。同教委は室町・戦国期の南部氏居城内の生活実態を解明する手掛かりになる-としている。

 サイコロは同館跡方形区画北東部で出土。一辺1.2センチの正六面体で、分析会社によるとシカの角製とみられる。駒は直径1.8センチ、厚さ4.5ミリの円形で、中央付近に六つの点があり、中心建物とみられる東北最大規模の大型掘立柱(ほったてばしら)建物跡の真下に位置する遺構で見つかった。材質は哺乳類の骨と推定されている。それぞれの発見場所から出土している陶磁器の年代から、室町-戦国期前半の15世紀第4四半期から16世紀前半のものと推定される。

 すごろくは現代に広く行われている絵すごろくではなく、盤上に配置した各15個の駒を使った「盤すごろく」用のもの。すごろくは賭博性が高く、たびたび禁令の対象となっており、日本書紀持統3(689)年12月の条に「禁断雙六(すごろく)」とあり、既に禁令の対象となっていたことがうかがえる。現存する最古のすごろく盤は桓武天皇愛用と伝わる螺鈿(らでん)細工で、正倉院に残されている。

 史跡聖寿寺館跡案内所で開いた会見には同館跡調査整備委員会の三浦圭介委員長、工藤竹久委員、若松啓文委員が同席した。町教委史跡対策室の布施和洋総括主査は「囲碁、連歌に加えて多彩な遊興をする居館内での姿が具体的にイメージできる発見」などとした。

 町は10日から3月末まで同案内所でサイコロと駒を一般公開する。

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