夫婦で「月22万円」だった年金。夫が亡くなったら妻が受け取れる年金はいくらになる?

夫が亡くなった際に受け取れる遺族年金とは

被保険者が亡くなった場合、生計を維持されていた人が受け取れる「遺族年金」があります。

生計を維持されていたとは、「生計を同じくしている(同居もしくは別居の場合仕送りや健康保険の扶養親族であるなど)」「収入要件を満たしている(前年の収入が850万円未満、もしくは所得が655万5000円未満)」の2点を満たしている場合です。

本項では、2種類の遺族年金について、要件や受け取れる人を解説します。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、以下の人が亡くなった際に、子どものいる配偶者もしくは子どもが受け取れます。

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・国民年金の被保険者
・国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満で日本国内に住所がある
・老齢基礎年金の受給者または受給資格を満たしている
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子どもが18歳以上の成人であるか、障害等級のうち1級または2級かつ20歳以上の場合は遺族基礎年金を受け取れません。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、以下の人が亡くなった際に配偶者、子ども・父母・孫・祖父母が受け取れます。

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・厚生年金被保険者
・厚生年金被保険者期間に病気・けがの初診日があり、これらが原因で初診日から5年以内に亡くなった
・1級2級の障害厚生(共済)年金を受け取っていた
・老齢厚生年金の受給者または受給資格を満たしている
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遺族厚生年金は、子のいない妻・夫ももらえます。受け取れる子や孫は、18歳になる年度の3月31日まで(障害等級がある場合、1級2級いずれかの状態である20歳未満)との条件があります。

遺族年金をもらえるのは、遺族のうち最も優先順位の高い人となります。優先順位は、1.子どものいる配偶者、2.子ども(※)、3.子どものいない配偶者、4.父母、5.孫(※)、6.祖父母の順です。

※18歳になった年度の3月31日までにある、または20歳未満で障害年金の障害等級1級2級の状態

夫婦で月22万円受け取っていた場合の遺族年金

夫が生きているときに、夫婦で22万円の老齢年金を受け取っていた場合の遺族年金はいくらになるでしょうか。本項では、残された妻がずっと専業主婦であり、子どもは成人済みと仮定して遺族年金のシミュレーションをしました。

また、遺族年金以外に夫を亡くした妻が受け取れる中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算についても見ていきましょう。

遺族年金

令和5年度時点で受け取れる老齢基礎年金額を例に、遺族年金をいくら受け取れるかシミュレーションします。

夫婦で受け取っている年金が老齢基礎年金含む月22万円の場合、そのうち13万2500円(老齢基礎年金月6万6250円×2人)は老齢基礎年金部分です(令和5年度)。しかし、子どもが成人している場合、夫の遺族基礎年金分は受け取れません。

22万円から13万2500円を引くと、夫が受け取っている厚生年金部分は11万500円となります。遺族厚生年金は夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となるため、受け取れるのは11万500円×0.75=8万2875円です。

結果、妻の老齢基礎年金6万6250円+遺族厚生年金8万2875円=14万9125円が、夫が亡くなったあとに妻が受け取れる月額となります。

中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算

夫が亡くなった妻に対し、厚生遺族年金に加算されるものがあります。年齢等の要件を見ていきましょう。

・中高齢寡婦加算

妻が40歳以上65歳未満であり、生計を同じくしている子どもがいなければ、中高齢寡婦加算として年59万6300円(月約4万9691円)が加算されます。

・経過的寡婦加算

妻が昭和31年4月1日以前生まれの場合に加算されるものです。65歳以上となって遺族厚生年金を受け取る際に、経過的寡婦加算として中高齢寡婦加算と同程度の加算がされます。

受給額は減ってしまうが遺族年金は受け取れる

夫が亡くなった場合、妻は遺族年金を受け取れます。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、それぞれ受け取るための条件は違います。また、受給額が減る点にも注目しておきましょう。

もし夫が亡くなった場合、自分がいくら遺族年金を受け取れるのか、あらかじめチェックしておきましょう。

出典

日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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