「とても眠い」アジア杯帰還後即スタメンの久保建英、「時差ボケでも弾丸」とソシエダ番記者は評価。同僚FWが涙した決定機を創出【現地発】

ファミリー的な雰囲気が売りのクラブにとっては、普通の別れではなかったかもしれない。レアル・ソシエダのイマノル・アルグアシル監督は、それぞれアフリカネーションズカップとアジアカップへ出発するアマリ・トラオレとタケ・クボ(久保建英)に向けてエールを送った。

「幸運を願っている。彼らは決勝に進みたいだろうが、私はできるだけ早く一緒にいられるよう早期敗退を望んでいる。彼らがいなくなることはシーズン当初から分かっていたことなので、言い訳にするつもりはない。我々はここにいる選手たちと一緒に取り組んでいく」

2人の不在がチームにとって大きな痛手になるだろうという見方は、結果を見れば裏付けられてはいない。この1か月間余りの間、レアル・ソシエダはコパ・デル・レイの準決勝に駒を進め、ラ・リーガを1敗で乗り切った。確かに宿敵アスレティック・ビルバオにスコア以上の完敗を喫し(1-2)、引き分けも2つ(ラージョ戦とジローナ戦)あったが、怪我人も続出する中、ハードスケジュールを乗り越えた。

ただ試合内容となると、違いを生み出す右ウイングと後方からその突破をサポートする右SBの不在の影響は誰の目にも明らかだった。

ファンは、その間、日本代表の戦いぶりにも注目した。遠い存在だったアジアカップは、今回は様相が異なった。韓国がグループリーグ最終戦で、土壇場の一撃でマレーシアに追いつかれ、日韓対決とタケとイン・ガンインの再会が阻まれた瞬間は、我が事のように悔しがった。日本は準々決勝で難敵のイランに敗れた。大本命としてこの規模の大会に臨む難しさを痛感したことだろう。

ソシエダは帰国便を手配し、イラン戦の24時間後の日曜日、タケはすでにパルマ・デ・マジョルカのホテルに入り、チームメイトたちとともにコパ・デル・レイ準決勝ファーストレグに備えていた。「とても眠い」が到着後の第一声だった。

万全のコンディションでなかったのは、テーピングを巻いている姿からも明らかだった。プレーに目を向けても、プレースキックを蹴らず、得意のドリブル突破を封じられ、前半はチャンスに顔を出さなかった。

しかし低調な試合であっても、タケは常に弾丸を隠し持っている。後半、ボールを失うことなく巧みにキープし、より積極的にプレーに絡んだ。そして71分だった。左サイド裏のスペースに抜け出して、ハビ・ガランのパスを受けると、丁寧に中央へクロスを入れた。押し込めば1点という場面だったが、信じられないことにウマル・サディクが左足ダイレクトで合わせたシュートはクロスバーの上を越えた。

試合終了後、サディクは涙を流してこの場面を振り返った。アンデル・バレネチェアとタケという2本の短剣を左右に従えるチームでプレーするのだから、これから挽回するチャンスはいくらでもあるはずだ。

【動画】】「信じられない」番記者も嘆き!久保建英が絶好のチャンス創出→同僚FWが涙した決定機逸
結局、タケは90分フル出場。パリ・サンジェルマンの本拠地パルク・デ・フランスに乗り込むCLラウンド16第1レグに100%のコンディションで臨むため、土曜日のオサスナ戦はベンチスタートの可能性もある。その時、カタールから帰還した後に悩まされた時差ボケは、きっと解消されているはずだ。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

© 日本スポーツ企画出版社