3連休明けは春一番か 南風強まり4月並み暖かさに 多雪地はなだれなど注意

 連休明け13日(火)から15日(木)ごろは低気圧が発達しながら日本海を進み、南風が強まって気温を押し上げる見通し。地域によっては「春一番」の発表があるかもしれない。

春一番とは

2024年2月10日(土)午前8時半ごろ 新宿区にて撮影 提供=気象予報士 鈴木悠

 「春一番」と聞くと有名なある歌を思い浮かべる人が多いかもしれないが、気象用語における春一番とは、立春から春分までの間(2024年は2月4日から3月20日までの間)に広い範囲で初めて吹く暖かくやや強い南からの風のことを言う。南からの風が吹くのは冬型の気圧配置が緩んで春が近づいた証拠となる。また、各地域の特性に合わせて、春一番の定義には多少の地域差をつけている。

地域差がある春一番の定義
 例えば、関東地方の春一番の定義は主に以下の4つが目安とされている。
①期間は立春から春分までの間
②日本海に低気圧がある
③関東地方における最大風速は8メートル以上の南よりの風が吹く
④前日より気温が上昇する

 一方で、中国地方の条件は以下の3つが目安とされている。
①期間は立春から春分までの間
②複数の気象官署等で南寄りの風が最大風速10メートル以上
③最高気温が前日より3℃以上高くなり、10℃以上になる

 上記のように春一番の定義には地域差があり、北海道、東北、沖縄では春一番の発表は行っていない。理由として、これらの地域は強めの南風が吹いたあとに必ずしも春らしい天候とはならないためだとされている。加えて、発表のある地域においても、基準を満たさなければ発表されない年もある。

もとは漁師の間で警戒されてきた風

 春一番というと、歌のような明るく好意的なイメージを抱くかもしれないが、本来は古くから漁師の間で海難を起こす暴風として警戒されてきた経緯がある。つまり、春一番とは昔は漁師の命を奪う怖い風として恐れられていたのだ。

 今シーズンは2月4日の立春を過ぎても、未だどの地域においても春一番の発表はない。この先、連休明け13日(火)から15日(木)ごろは低気圧が発達しながら日本海を進み、南風が強まる見通し。南風が気温を押し上げて、4月並みの暖かさになる所が多い予想だ。地域によっては春一番の発表があるかもしれず、特に14日(水)から15日(木)は荒れた天気となるおそれがある。強風や高波、気温が上がるため多雪地ではなだれなどにも注意したい。

(気象予報士・鈴木悠)

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