「誰に贈るの…」なぜ作った? セリアのバレンタイン雑貨が癖

「まじで誰向け?」「癖強すぎて草」とSNSで話題をさらっている、100円ショップ「Seria(セリア)」のバレンタイングッズ。溶かしたチョコレートを流し込むだけの型に、「マッスル型」「昆虫型」「歯型」といった、思わずツッコミを入れたくなるシリーズが続々と登場している。

趣味が将棋だというあの人へ。なかなか売っていないデザインだからこそ喜ばれそうな「セリア」のチョコモールド「将棋駒型」

なかでも「キーボード型」や「将棋駒型」はXでも「キーボード型、配列がエグい」「ナイスアイデア!」など、多数の関心が寄せられている。そんなニッチすぎるバレンタイン商品の誕生秘話を、「セリア」と製造元である「山田化学」(本社:三重県伊賀市)の広報担当に話を訊いた。

■ 「シュールをテーマにするのは初の試み」(セリア)

──バレンタインといえば華やか!なイメージ。なぜ「将棋」や「キーボード」といったニッチなアイテムをモチーフにしたのでしょうか?

(左から)チョコモールド「レトロゲーム型」「キーボード型」「将棋駒型」(各110円)

セリア:2023年に「推し活アイテム」や「埴輪」、「仏像」などちょっと変わった型を販売したところ、反響を呼び人気商品となったため、今年は新たにバリエーションを増やすこととなりました。これまで、「かわいい」をテーマとする型の販売は多くありましたが、「シュール」をテーマにするのは新しい試みであり、「これをチョコにするの!?」とお客さまに驚いていただきたいという思いから、商品化いたしました。

──商品化するにあたり、工夫された点などありますか?

山田化学:「将棋」と「キーボード」は(一部、製造上の都合で変更されている箇所もありますが)本物を忠実に再現しております。

「キーボード型」を実際のキーボードに置いてみた

また、「ゲーム」は当初、コントローラーや周辺機器等を商品化することも考えましたが、実寸での再現が難しいことなどから、ハードウェアではなくソフトウェアに着目しました。今でも根強いファンのいる「レトロゲーム」は、ドット絵がデザインとしてもかわいく、認知度の高さとオリジナリティの出しやすさもあり採用することとなりました。

──ターゲット層はどのように設定されていますか? ちなみに「贈る相手」などは想定されているのでしょうか。 誰にでも「はい、どうぞ!」というわけにはいかないデザインなので(笑)。

セリア:幅広い年代の方を対象としています。女性だけでなく男性にも興味を持っていただけたらうれしいなと。

山田化学:「キーボード型」は、お客さまがチョコペンで文字を書き込みメッセージを作られることを想定し、無地キーを多めにしております。また、「レトロゲーム」にも同様に、メッセージを書き込めるフリーの吹き出しがございます。(全3種)どの商品についても、ネタとしてクスッと笑えるようなポジションかと存じますので、仲のいいお友だちや該当する趣味をお持ちの方へ贈られると喜ばれるのではないでしょうか。

セリア:プレゼントにもおすすめですし、ご自身で写真を撮ってSNSにアップするなど、自由に楽しんでいただけたら光栄です。

「将棋駒型」をキュートなハートの箱でラッピング、なかなか渋い仕上がりに。「スキ」は筆者がチョコペンでアレンジしてみた

バレンタインに贈る相手と言えば「恋人」というイメージがあるが、近年では友だちに贈る「友チョコ」はじめ、男性から女性に贈る「逆チョコ」、自分へのご褒美「マイチョコ」や家族に贈る「ファミチョコ」、お世話なっている人に贈る「世話チョコ」などという言葉も現れ、多様化を見せている。

また昨今のバレンタイン事情を調査したあるアンケート結果(ぐるなびリサーチ部調べ)では、「贈り先」としてもっとも多かった「親族」(48.9%)に続き、「自分」(22.3%)、そして「恋人」(22.0%)となっているように、バレンタインとはいえど、自由に「贈りたい相手」に「贈りたいもの」を選べる時代になってきたことが分かる。

各種チョコモールドの価格は110円(欠品中の為、店舗によっては在庫がない場合もあり)。

取材・文・写真/緑川翠

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