犬が突然立てなくなる理由は?4つの原因や考えられる病気、飼い主にできる対処とは?

犬が突然立てなくなる理由と考えられる病気

犬は自分の不調を隠そうとすることがほとんどです。そのため、「立てない」ことを隠しきれないときは重い体調不良であることが多く、中には命にかかわるほど進行していることもあるほど危険な状態です。

いざそうなってしまった場合に飼い主として冷静に対応できるように、考えられる原因と対処法についても解説します。

1.ケガ

骨折や脱臼などが4本足すべてに同時に起こることは考えにくいですが、強い痛みによって立てなくなります。

例えば、ソファから飛び降りたり階段から落ちたときにケガをした可能性があります。

骨折するほどの衝撃であれば、犬も「キャン!」と鳴くことが多いでしょうからすぐに異変に気付くはずです。

まず、犬の体全体をくまなく観察しながら触っていきます。触った時に鳴いたり唸るなどの反応がある部位を確認しましょう。目視では分からなくても愛犬に異変があるようであれば、迷わず動物病院を受診してください。

2.神経系の病気

背骨の中にある脊髄という神経の束が何らかの原因で傷つけられると、脳からの伝達が上手くいかず、後ろ足が麻痺してしまうことがあります。さらにそれによって、ふらついたり立てなくなります。

  • 脊髄梗塞
  • 椎間板ヘルニア
  • てんかん

立てないまでも歩き方がおかしかったり、体の一部を触ると嫌がるようであればすぐに獣医師に見てもらいましょう。

てんかんの場合は症状の詳しい説明はもちろん、できれば動画を撮っておくと診察がスムーズに進みます。愛犬が発症した際には驚いてしまうかもしれませんが、できる限り冷静に対処することを心がけてください。

3.前庭疾患

前庭疾患も、神経系の病気です。内耳にある「前庭」と呼ばれる部位が異常をきたし、神経症状が起こる病気でシニア犬に多く、前触れなく突然発症することもあります。

また、まっすぐ歩けず、倒れたまま立ち上がれなくなることも。

他にも眼球が横に揺れ続ける「眼振」や、正面から見ると頭が斜めに傾いたままになるという特徴的な症状もあります。

前庭疾患は様々な症状が急に起こるので、飼い主さんも慌ててしまうことが多いですが、早期受診が回復のカギとなりますので、一刻も早く動物病院を受診してください。

4.加齢によるもの

犬もわたしたちと同じように年を重ねるにつれ筋力が低下します。

立つ、歩く、跳ぶなどの動作が難しくなり、結果的に立てなくなります。症状は徐々に進んでいくので、急に立てなくなるということは少ないといえます。

しかし「シニアだから」と一括りにするのは危険です。その裏には関節痛や椎間板ヘルニア、脳疾患などが隠れている可能性があります。

愛犬の様子を細かく観察し、食欲不振、元気がないなどの症状があるようであれば、迷わずかかりつけの獣医師に相談しましょう。

病院へ行く前にすべきこと

前章で書いた通り、犬が「立てなくなる」という症状は、体調不良が進行しているともいえます。その可能性があるのであれば、すみやかに動物病院に連れていかなくてはなりません。

ただし、動物病院を受診するときに、飼い主さんがチェックすべきことがあります。愛犬が辛そうにしているとなかなか難しいかもしれませんが、その後の治療が滞りなくいくためにもぜひ実践してください。

まず、「意識状態の確認」です。呼びかけに反応できるなどはっきりしているのか、またはぼんやりした様子なのか、もしくは意識がなく呼びかけや体を揺らしても無反応である状態なのかを確認しましょう。

続いて呼吸の状態です。「ハァハァ」と苦しそうな呼吸はしていないかを確認してください。1分間に40回以上呼吸するようであれば、危険な状態です。

これらを紙に書き留めておくか、愛犬の様子を動画で撮影しておくと良いでしょう。

病院に到着して緊急手術となれば、獣医師に説明している時間もないかもしれません。そんなときでも「症状を明記した紙を渡す」「愛犬の様子の動画を見せる」という行為は、症状を一目で伝えることが可能で非常に有効ですので冷静に準備できるようにしておきましょう。

まとめ

犬が「立てない」という状態の裏には様々な疾患が想定でき、かつ内容も深刻なものが多いことをご紹介しました。

たとえはっきりとした症状ではなくても、異変や兆候があらわれたときには迷わず動物病院を受診することをおすすめします。

愛犬の健康・命を守れるのは飼い主さんだけです。日ごろから愛犬の様子をよく観察して、愛犬の異常に敏感に対応できるようにしておきましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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