エルニーニョ現象 春にかけて終息の可能性

気象庁は9日(金)、最新のエルニーニョ監視速報を発表しました。昨年の春からエルニーニョ現象が続いています。今後、春の終わりにかけてエルニーニョ現象が続く可能性もあるものの(40%)、平常の状態になる可能性の方がより高く(60%)、夏は平常の状態である可能性が高くなっています(70%)。

●1月の実況
1月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は+2.2℃で、基準値より高い値でした。8月に+2.2℃となって以来ほぼ同じ値が続いています。エルニーニョ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の11月の値は+2.2℃で、4月から8か月連続して+0.5℃以上となりました。

太平洋赤道域の海面水温は日付変更線付近から東部を中心に平年より高くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は東部で平年より高く、西部から中部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近から東部の対流活動は平年並で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年並でした。

大気は赤道季節内振動の影響でエルニーニョ現象時の特徴が一時的に不明瞭となりましたが、海洋はエルニーニョ現象時の特徴を示していることから、エルニーニョ現象が続いているとみられます。

●今後の見通し
実況では、太平洋赤道域の東部にみられる海洋表層の暖水が、東部の海面水温が高い状態を維持しています。大気海洋結合モデルでは、西部から中部の冷水の東進に伴い、エルニーニョ監視海域の海面水温が春の終わりにかけて次第に下降し基準値に近づくと予測しています。今後、春の終わりにかけてエルニーニョ現象が続く可能性もありますが、平常の状態になる可能性の方がより高く、夏は平常の状態である可能性が高くなっています。春の終わりにはエルニーニョ現象が終息する見込みとなっています。

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