【そりゃ墓じまいしたくなるわ】元葬儀屋社員がヤバさを感じた「お墓のトラブル」あるある3選

【一覧表つき】増える墓じまい、避けたい無縁墓

少子化や核家族化が進み墓じまいを検討する人も増えるいま。「いまのお墓は本当に必要なのか?」と漠然と考えている人も少なくないはず。

お墓は日常生活の必需品ではないものの、祭祀財産としてていねいに扱う必要があります。こうした性格上、ときに親族間の重大なトラブルや悩みごとを呼ぶことも……。

今回は、お墓にまつわる実務経験を持つ元葬儀社社員から、「これはヤバい!墓じまいしたくなる気持ちも分かる……」と感じたお墓のトラブルを3つ、聞くことができました。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

お墓のトラブルその1「墓守(後継者)問題がヤバい!」

うちのお墓、誰が継ぐ?誰が守る?悩ましき「墓守問題」

お墓の後継者問題は、少子化、核家族化が進んだ現代を象徴するトラブルと言えるでしょう。

ひと昔前は、家にしてもお墓にしても「長男が継ぐもの」という風潮が強かったですよね。でも今はどうでしょう?必ずしもそうではありません。

墓守、つまりお墓の後継者問題は、「長男が単身者で次男が家庭を持っている」「長男は遠方に居を構えているが次男は実家暮らし、または実家のすぐそばで暮らしている」といったケースで起きやすいです。

話し合いが平和にとまればよいですが、全ての家庭がそうとは限りません。意見が一致せず、きょうだい仲が悪くなってしまうケースも実際に見てきました。

後継者がはっきりしない場合もトラブルが起こりやすい

また、はっきりとした後継者がいない場合にも、親族間でトラブルになりがち。亡くなった方がそれまでの後継者であるときや単身者であったときに、誰がその後のお墓を守るのかで問題になるのです。

さらに、亡くなった方が単身者で、出生や家族関係が複雑であった場合にも、どのお墓に入れるのかという問題が浮上します。

単身者だからといって、お墓は簡単には増やせません。最終的には、無縁仏としてお寺や市が管理する合祀墓に、人知れずこっそりと納骨される例が多くありました。

後継者問題でトラブルにならないために、将来お墓をだれが守っていくのかは、早めに話し合って決めておきたいですね。

お墓のトラブルその2「立地がヤバい!」

「昔の人は、どうしてこんなに通うのが大変な場所ばかりを選んで、お墓を立てたのだろう」

葬儀社勤務時代、納骨や墓じまいの相談を受ける際によく感じていたことです。

昔から守られてきたお墓は、山の中の見晴らしがよい場所に建てられていることが多くあります。

亡くなってからも見守ってほしい、生まれ育った土地をよく眺められるように、といった思いからその場所がお墓として選ばれたのかもしれませんね。

しかし、若い人ならまだしも、高齢化が進んだ現代において、高齢者が通うには辛すぎる場所に建てられていることが本当に多いのです。

葬儀屋の若手社員たちも思わず、「こんな急な坂を上るの?」とため息をつくような傾斜地の上にお墓があることも。また、昔作られた道なので車は途中までしか入れず、最終的には歩いてお墓までたどり着くしかありません。

「そりゃ墓じまいしたくなるわなぁ…」

でも、お墓参りって手ぶらでは行きませんよね。法事やお彼岸、お盆のお墓参りには、お花にお線香、お供え物にお水と、荷物が盛りだくさんです。

それらを持って、法事の後は革靴で、急勾配で足場の悪い坂道をみんなで上っていかねばならないのです。「そりゃ墓じまいを進めたい気持ち、わかるよなぁ」と思ってしまいます。

よくよく考えてみると、昔の人は今ほど平均寿命が長くなかったですよね。歩くのが辛くなるほど長生きをしている方が少なかった、というのもあるかもしれません。

現代のように車や重機もなく、移動手段はもっぱら自分の足でした。そう考えると、この立地は一番にご先祖様のためを思って選んだのだろうと腑に落ちるわけです。

ヤバい……。イノシシにお墓を荒らされた!?

立地のせいで、お墓自体がトラブルに見舞われることもよくあります。

実際の例として、山の中にあるせいで、成長した木の根によりお墓が傾いたり、長雨のせいで、お骨を収納するカロート部分が水浸しになっていたことがありました。

もちろん骨壺の中も悲惨な状況です。

イノシシに荒らされてしまい、お墓が倒れていたことも過去にありました。そこは昔のお墓で、現代よく見るようなしっかりした作りのお墓ではありません。

小さな墓石が、それぞれの故人様のお墓に設置されている場所でした。山の中で生活する獣が増えた結果、お墓を荒らされる例は増えました。

そのような立地で管理が難しい場合には、墓じまいやお墓の移動を検討する良い機会かもしれません。

お墓のトラブル3「スペースがヤバい!」

とあるお客様は

「個人墓が15基もあるためお墓参りもそれぞれのお墓を参らなければならない。お花やお供えものが大量に必要で困っている」と、よくぼやかれていました。

一族の数が多く、それぞれに個人墓を建てていると、徐々に土地のスペースに余裕がなくなってきます。

既にスペースが埋まっていて、自分たちのお墓を建てるスペースがなく、仕方なく少し離れた場所にお墓を立てなければなりません。

お墓の数が増えると、子や孫の時代になって、どこまでが一族のお墓なのかきちんと継承されないことも考えられます。

古いお墓を、どこかのタイミングで「先祖墓」としてまとめるのも一案と言えます。先祖代々のお墓を引き継ぐ人がぜひ持っておきたい視点です。

しかし、お墓の数が多い分、墓じまいに費用がかかるのも別の問題として浮上するわけで……。なんとも悩ましい話ですが。

「墓じまいを考える気持ちが分かる……」お墓のトラブル回避には早めの話し合いが大切!

核家族化が進んだ現代は、以前ほど頻繁にお墓のお世話をすることが難しくなっています。墓じまいやお墓の移動は、ブームの影響もあり、取り組みやすくなりました。

しかし、場所や管理者、お金の問題がつきまとうのがお墓問題です。

お墓の後継者や立地の問題でお悩みの場合は、トラブル回避のために、機会を設けて早めに話し合いましょう。

参考データ【一覧表】増える墓じまい、避けたい無縁墓

墓じまいは確実に増えている!「改葬件数の推移(1998~2022年)」

出所:衛生行政報告例(e-stat)をもとにLIMO編集部作成

改葬件数の推移

  • 1998(平成10)年 7万263件
  • 2003(平成15)年 6万8579件
  • 2008(平成20)年7万2483件
  • 2013(平成25)年 8万8397件
  • 2018(平成30)年 11万5384件
  • 2019(令和元) 年12万4346件
  • 2020(令和2)年 11万7772件
  • 2021(令和3)年 11万8975件
  • 2022(令和4)年 15万1076件

参考資料

  • 衛生行政報告例/平成10年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成15年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成20年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成25年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成30年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和元年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和2年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和3年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和4年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)

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