お通夜に喪服はNG?【お葬式マナー】「通夜」「葬儀」「告別式」の違いとは

今さら聞けない「通夜」「葬儀」「告別式」基本マナー

【元社長秘書のマナー講座】vol. 23


お通夜、葬儀、告別式と別々に行われるお葬式。突然の訃報を受けた場合に、「どれに行けばいいかわからない」と困ってしまうかたも多いのではないでしょうか。それぞれがどのような目的で執り行われているのか、今さら聞けないというお悩みをかかえているかたもいるかと思います。そこで今回は、それぞれの儀式の意味や違い、どのお葬式に参列をすればいいのか、参列する際の基本的な服装について解説します。


今さら聞けない「通夜」「葬儀」「告別式」の違いって何?

最近では、お通夜と葬儀式、告別式の違いが曖昧になってきています。しかし本来はそれぞれに意味があり、参列すべき人にも違いがありました。それぞれの意味を確認しておきましょう。

1. 通夜式(お通夜)

ご遺族をはじめとする身近な関係のかたたちが集まり、死者を葬る前に遺体のそばで時間を過ごしたり供養したりし、故人を偲ぶ儀式のことを指します。基本的に、葬儀式・告別式の前日の晩に執り行います。

2. 葬儀式(葬儀)

家族や親族といったご遺族が、故人の冥福を祈り、死者を葬るための儀式です。宗教や宗派によって葬儀の形式は異なりますが、仏教であれば僧侶による読経や焼香、神道であれば神官による祭詞や祈祷、キリスト教であれば聖書の朗読やお祈りをします。一般的には通夜の翌日の昼間に行われ、その後出棺し荼毘に付されます。

3. 告別式

故人へ最後のお別れを告げるとともに、ご遺族から会葬者・参列者に挨拶をする式典です。焼香、祈祷、献花などが告別式にあたります。葬儀の直後に続けて行われることが一般的となってきており、葬儀の中に告別式という意味合いも含めて使われることが多くなってきています。


葬儀式と告別式の違い

「葬儀式」と「告別式」は、一連の流れで行われることが多くなり同じ意味に捉えられがちですが、目的が異なります。「葬儀式」は宗教色が強く「ご遺族が故人とのお別れを行う」儀式となり、「告別式」は宗教儀式にあまりとらわれることなく「一般の参列者が故人とのお別れを行う」ものです。つまり、葬儀式はご遺族関係者向けの儀式、告別式は一般参列者向けのお別れの式典です。

どれに参列をするのがいいの?

本来の意味で考えると、故人と親しい間柄であればお通夜と告別式の両方、知人やビジネスの関係である場合には告別式に参列するのが基本です。しかし、最近では告別式への参加が難しい場合などにお通夜に会社関係者や友人が参列するということもあります。これには、告別式が基本的に昼間に行われるのに対し、お通夜は夕方から夜にかけて行われることが多いという背景があるようです。仕事関係者のお葬式は、会社の指示に従うのがいいでしょう。


服装の基本マナー

現在のお葬式では、ご遺族も会葬者も喪服を着用するのが一般的です。ただし、正式礼装は喪主やご遺族のかたの装いなので、一般会葬者として参列する場合は、正式礼装より格下の準礼装や略礼装の装いにしましょう。女性は黒のシンプルなアンサンブルやスーツ、男性はブラックスーツかダークスーツなどがよいとされています。

葬儀の基本的な身だしなみ 男性の準喪服

1.服 黒のブラックスーツか、濃いグレーや濃紺といった色調のダークスーツ。シングル・ダブルどちらでもOK。

2.シャツ 白無地・ブロード素材のワイシャツが基本。色柄、麻や光沢のある素材はNG。

3.ネクタイ 黒色が基本。模様や光沢はNG。

4.靴 黒い革靴。光沢はNG。

5.バッグ 男性はバッグを持たないのが基本マナー。バッグが必要の場合には、黒無地の小さなセカンドバッグが適している。

葬儀の基本的な身だしなみ 女性の準喪服

ブラックフォーマルが基本マナー。

1.服 漆黒の光沢のない生地でできたスーツやワンピース、アンサンブル。スカートの丈の長さは、膝が隠れる長さ。

2.靴 黒色の無地で、光沢のない素材の布または革のパンプスが基本。サンダルやブーツなどはNG。

3.ストッキング 模様や柄、網目などが目立たない黒の無地。黒色で30デニール以下の薄手のストッキングが目安。

4.バッグ 黒無地の光沢のない布製が基本。

5.アクセサリー 結婚指輪以外の指輪は外す。真珠のネックレスとイヤリング、ピアスはOK。2連~3連のネックレスは「不幸が重なる」ことを連想させるので避け、必ず1連のネックレスを選びましょう。

6.ネイル ストーンやカラフルな色のネイルの場合は落とした方が無難。落とせない場合には、葬儀用手袋を着用。

通夜の服装はこだわらなくていい

通夜の服装に決まりはなく自由ですが、節度をわきまえるのが基本です。故人に会って最後のお別れがしたいという気持ちを最優先にすべきであり、故人に合うことに意味があります。「亡くなったのを待っていたみたい」という理由から、通夜には喪服を着ていくべきではないというのが本来の考え方です。しかし、大切なのは参列者の心情や事情を尊重することです。通夜の服装は、地味できちんとした服装であれば、喪服でも平服でも構いません。

おわりに

心得としては、ご遺族の意向に従うことが大切です。通夜式も葬儀式も告別式も、故人を悼みお別れする場です。どの式に参列するか、確実に定められているわけではありませんが、判断に困ったら参考にしてくださいね。しかし、地域に伝わる風習やご家庭の考えがある可能性もありますので、その際はご遺族の意向を最優先にするのがいいでしょう。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。

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