大谷グラブ、続々と各学校へ 順番に家に持ち帰り、家族で一夜をともにする学校も さまざまに活用法を模索

大谷翔平選手から贈られたグラブでキャッチボールする児童=島根県松江市鹿島町手結、恵曇小学校

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が贈ったグラブが続々と各小学校に届いている。学年や学級ごとに使える日を決めてキャッチボールを楽しむ姿や、児童に利用法を任せて主体性や道具を大切にする気持ちを育もうとする動きもある。一方、近年の野球離れを示すように利用が少ない学校もあり、活用方法を模索する。

 島根県松江市の恵曇小学校(62人)の校庭で9日、キャッチボールする6年生の姿があった。中学でバレーボール部に入る予定の金坂颯汐(そうし)君(12)は「野球も楽しみたい」と笑顔を見せた。普段、職員室で管理するが、授業公開があった同日は昇降口に飾り、保護者に見てもらった。

 大谷選手が全国約2万の小学校に贈るグラブは小学校低学年用のサイズで、右利き用が二つ、左利き用が一つ。昨年12月から順次配送している。

 飯南町の来島小(42人)は順番に全児童が家に持ち帰り、家族で一夜をともにした。校内に大谷選手の等身大パネルを置いてムードを盛り上げ、山碕延男校長は「使い方のルールを児童が決め、譲り合いや道具を大切にする気持ちを養ってほしい」と願う。安来市の赤屋小(24人)は教職員が自宅に眠るグラブを持ち寄り、多くの児童が野球に親しむ環境を整える計画だ。

 出雲市の高松小(705人)は学級ごとに使える日を定める予定で、児童数が多い学校は使用頻度が偏らないよう気を配る。江津市の津宮小(324人)の山本孝志教頭は「希望する児童が増えれば、順番待ちが長くなる可能性がある」と頭を悩ませる。

 笹川スポーツ財団(東京都)によると、2021年の10代の野球の推計人口は137万人で、01年の282万人から半減。小学生年代(10、11歳)が年1回以上、野球をする率は、01年の26.1%から21年は14.6%に落ち込んだ。

 江津市の渡津小(89人)は利用者が数人程度。樋野淳巳校長は「野球離れが影響しているのか、キャッチボールの経験がない児童もいる」と話し、児童に聞き取りしながら有効な活用法がないかどうかを思案する。邑南町の石見東小(74人)も、到着後の大雪で屋外で遊ぶ機会が減った間に関心が薄くなったのか、野球クラブ所属の児童が使う程度という。

 全国ではグラブとともに贈られたタグがフリーマーケットサイトに売り出される騒動があった。川本町の川本小(133人)はタグを校長室の金庫に保管。今井慎也教頭は「児童や大谷選手の気持ちを大事にして保管したい」と話した。

 (取材班)

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