火災事故で欠航中の村営船「フェリーとしま2」 3月再開は困難 新たな代替 ”助っ人” に貨物船「ぶーげんびりあ」 ガソリンや生活物資輸送、島民生活支える

種子島航路の貨物船「ぶーげんびりあ」に、十島村向けの物資が次々と積み込まれた=10日夕、鹿児島市七ツ島1丁目の谷山港

 昨年末の事故で欠航している鹿児島県十島村の村営船「フェリーとしま2」(1953トン)の3月中の運航再開が困難なことが10日、分かった。機関室内のすすの除去や電気配線などの修繕作業に時間がかかるため。県本土から物資を運ぶ自前の輸送手段が断たれる中、県内外の代替船が島民生活を支えている。

 10日夕、鹿児島市七ツ島1丁目の谷山港。鹿児島-種子島間を不定期で結ぶ鹿商海運(同市)の貨物船「ぶーげんびりあ」(999トン)に、十島村中之島向けのコンテナが次々と積み込まれた。11日夜出港し、12日早朝に到着する予定だ。

 としま2の代替船は当初は、旅客だけの同村高速船「ななしま2」(19トン)と三島村営船「フェリーみしま」(1859トン)が担った。ただ、定期航路のみしまは通常ダイヤが優先となる。

 別の民間貨物船2隻を用いているが、船のサイズが小さく冬場の悪天候で出港できないことが多い。「島内のガソリンが足りない」と十島村の肥後正司村長が、鹿商海運に比較的大きな「ぶーげんびりあ」による輸送を依頼。同社は馬毛島の自衛隊基地整備で週4、5回と従来より運航が多い中で、運航計画や船員らの勤務をやりくりして応じた。

 1月下旬にガソリンのドラム缶30本と重機などを輸送。2回目となる今回は建設資材や牛の飼料、生活物資を積み込んだ。同社の米森和之社長(70)は「島民の生活がかかっている。手伝いたい」と、今後も隔週程度で船を出す予定だ。

 肥後村長は「物資の欠乏や病人の輸送遅れと心配は尽きない。本来の運航があるのに協力してもらい頭が下がる」と感謝した。

 十島村は、代替船の賃借料4億2833万円などを盛り込んだ2023年度船舶交通特別会計補正予算を専決処分。県は3月補正予算案に代替運航などにかかる経費助成を計上している。

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