世界的指揮者悼む声 一関地方4カ所で演奏会 小澤征爾さん

東川院には客間のふすまに小澤さん、ロストロポービッチさんのサインが日付とともに残されている

 6日に88歳で亡くなった世界的指揮者の小澤征爾さんは、2005年にコンサートキャラバンで一関市と平泉町を訪れ、寺院など4カ所で演奏会を開いた。「世界のオザワ」の指揮を目の当たりにし、気さくな人柄に接した人たちからは、悼む声が上がっている。

 同キャラバンは、クラシック音楽の生演奏を聴く機会のない人たちのために演奏家が出向く無償のコンサート活動。20世紀後半を代表するチェリストの故ムスティスラフ・ロストロポービッチさんが提案、小澤さんが賛同して1989年に岐阜県、長野県で始まり、本県では2002、05年に行われた。

 一関地方の会場は05年8月19日に同市大東町渋民の東川院、同20日に同市真柴の特別養護老人ホーム関生園、平泉町の長島小学校、同市字釣山の願成寺。小澤さんはロストロポービッチさん、若手演奏家と共にサンサーンスのチェロ協奏曲などを演奏し、詰め掛けた聴衆を魅了した。

コンサート会場の一つとなった東川院には、客間のふすまに墨と筆でしたためたとみられる小澤さんとロストロポービッチさんのサインが残っている。大塲浩俊住職(68)は先代住職から新聞記事やホームページ資料とともに引き継いで大切に保存しており、「総代ら地域の人たちはみんな当時のことを覚えている。サインは大きく、にじみにも味がある。文化財として伝えていきたい」と巨匠の足跡を継承していく意向だ。

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