[食の履歴書]北原里英さん(俳優) 人とのご飯が“趣味” 奥深きカレーにはまる

私は新しいことに挑戦し続けないと駄目な“回遊魚”タイプです。新型コロナウイルスで自宅で過ごす時間が増えた時期に、食生活アドバイザーの資格を取りました。それくらい食が好きなんです。

特に趣味はなく仕事が一番なんですけど、人と一緒にご飯を食べるのが趣味といってもいいかもしれません。人と食べた方がおいしいですからね、ご飯は。

資格取得とは別に料理でも新しいものに挑戦してみようと思い、コロナ禍にスパイスカレーを作ってみました。これが意外と簡単だったんです。それで自分でもレシピを考えたりするようになりました。

カレーのベースはタマネギです。タマネギをじっくり炒めてあめ色にするのに、時間がかかるんですよね。それがスパイスカレー作りのとっつきにくさだと感じていました。でも市販のあめ色タマネギがあることを知ってからは、それしか使っていません。時短できますからとても気に入っていて、2カ月に1回届くよう定期購買をしています。

トマトはピューレを使い、あとは好きな肉か魚があればいいわけです。サバ缶のような缶詰もいいですし。私は冷凍のシーフードミックスで、ココナツカレーを作ることも多いですね。スパイスカレーは煮込まなくていいので、10分か15分くらいでできちゃいます。

先日、ユーチューブの企画で、カレー屋さんをさせてもらいました。私の「店」に70人くらいが来てくれて、喜んでもらったんです。自分で作る料理を皆で食べてくれる機会なんて、めったにないじゃないですか。食べた人に「おいしい」と言ってもらって、とても幸せな気持ちになりました。飲食店の皆さまの気持ちがわかりました。同時に、70人分のカレーを仕込む大変さを知りましたから、今では飲食店の皆さまへのリスペクトの気持ちが止まりません。

もともとカレーは好きです。子どもの頃に母が作ってくれたカレーも好きでした。特段変わったところはありませんでしたが、ルーを二つ混ぜていましたね。うちでは週1カレーでした。それでも飽きずに食べられる。カレーは料理界のエース、センターです。

AKB48では高橋みなみちゃんとカレー部を作ったくらいです。みなみちゃんとスタッフさんとで、カレー屋さん巡りをしていました。

といいつつ、NGT48として新潟に住んでいた時は、実はラーメン部というのをやっていました。浮気してたんです。

新潟はラーメンがおいしいし、県内の街によって、味が違うんですよ。新潟市は何でもありますけど、あっさりとしたしょうゆ味が多いでしょうか。燕三条は背脂系で、結構濃い感じの味です。

そして長岡がショウガじょうゆ。長岡の人ってすごくラーメンが好きなんです。街を歩いててそんなに人がいないのに、ラーメン屋は満席。どこから来たの?と聞きたくなるくらい。道路と比べて店の人口密度がとても高いんです。

新潟といえば、やっぱりお米について語りたいです。仕事の時に出てくるお弁当のご飯って、冷めてておいしくないじゃないですか。でも新潟のお弁当は、冷めたご飯でもおいしいんです。ものが違うなと思います。あまりにおいしいから、新潟で作られているお米はほとんど全部の種類を食べました。

新潟はおすしもいいですよね。回転ずしでも、本当においしい。チェーン店でも、東京の同じチェーン店で食べるのと全然違うんです。おいしい海鮮を使っているということもあるでしょうけど、実はお米がおいしいから。絶対にそう思います。今も家でお米を買う時は、新潟のお米を選ぶようにしています。 (聞き手・菊地武顕)

きたはら・りえ 1991年、愛知県生まれ。2008年からAKB48メンバーとして活躍。15年にNGT48に移籍し、キャプテンを務める。18年にNGT48を卒業し、映画「女子大小路の名探偵」「神さま待って!お花が咲くから」などに出演。また23年には小説「おかえり、めだか荘」を出版した。映画「劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血」が2月16日公開。

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