高齢者や障害者に優しい旅、地域で推進 兵庫県が2地区指定、バリアフリー化に補助

兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム(UT)」の促進に向け、兵庫県は2024年度、地域ぐるみで受け入れ体制を整える「推進エリア」を指定する。25年の大阪・関西万博も見据え、バリアフリー化などの取り組みを観光地一帯に広げる。指定は2地区程度を予定し、観光施設のエレベーターや公衆トイレの改修、車いすの購入などに最大1600万円を助成する。

 県は23年度に全国初となるUT推進条例を施行。旅館やホテルを対象に独自の「宣言・登録制度」を設け、一定の基準を満たした施設にバリアフリー化の費用を補助している。

 県によると、これまでに77施設が推進を宣言。23年度当初予算では、補助費用として計約2600万円を計上した。今のところ補助の申請実績は4件だが、意欲を示す施設は多く、同年12月の補正予算で3億3千万円を追加した。

 推進エリアの指定では、市町や観光協会、宿泊施設、交通事業者などで構成する組織を対象に公募する。組織は既存、新設を問わない。エリアとしての取り組みを計画にまとめてもらい、県が審査する。8月ごろまでの指定を目指す。

 観光施設の他、案内所や足湯などもバリアフリー化の補助対象に含まれ、筆談用タブレットの購入、車いすに対応したユニバーサルデザインタクシーの導入などにも使える。1エリア当たり1600万円を上限に、費用の半分を助成する。交流サイト(SNS)を活用した情報発信も求める。

 斎藤元彦知事は、宿泊施設がそれぞれで行ってきた取り組みを「面的に広げることが大事。高齢者や障害者に優しい観光地づくりにつなげたい」としている。(田中陽一)

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