雪まつり 訪日客続々 福島県会津各地 大内宿大にぎわい 台湾からのツアー好調

ツアーで大内宿を訪れ、記念撮影する台湾からの観光客=10日、下郷町

 3連休初日の10日、福島県会津地方各地で恒例の雪まつりが開幕し、にぎわった。下郷町の大内宿は台湾などを中心に訪日客(インバウンド)が増えており、雪まつりも盛況。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、円安もあって訪日客の動きが活発となる中、1月の来訪者はコロナ禍前の2倍になったという。福島空港と台湾を結ぶ定期チャーター便が運航されていることもあり、関係者は「会津を売り込む好機」と捉え、一層の観光活性化を期待している。

 10日午前、青空の広がる下郷町の大内宿は、台湾を中心とした海外からの観光客が目立った。雪まつりがこの日から2日間の日程で開催中だ。観光客は雪化粧したかやぶき屋根や雪像を背景に、記念写真を撮っていた。台湾からの観光客25人を引率したツアーガイドのリョウ・ウェイ・ティンさん(40)は「台湾は雪がめったに降らないので、美しい景色にみんな感激している」と話した。

 大内宿は訪日客の増加が顕著だ。大内宿保存整備財団によると、月間の訪日客は2020(令和2)年1月が9136人だったのに対し、今年は1万8484人と倍増した。台湾からの訪問が8割を占めているという。国内も含めたツアーバスは1月以降、1日平均15台が乗り入れている。多い日は27台を記録し、このうち22台が海外のツアー客だった。

 訪日客に対応するため、各事業者は音声翻訳アプリなどを活用している。雪まつり会場には英語でプログラムを掲示した。大内区長の佐藤一夫さん(69)は「多くの観光客をもてなせるよう、受け入れの態勢を充実させたい」と張り切る。

 県空港交流課によると、福島空港と台湾を結ぶ定期チャーター便の搭乗率は9割以上で推移し好調を維持する。1月は計1539人が利用した。観光関係者によると、隣県の仙台空港などから県内に入る訪日客も多い。大内宿だけでなく、会津若松市などもにぎわう。会津若松観光ビューローによると鶴ケ城イルミネーションナイトは来場者の4分の1が台湾を中心とした訪日客だという。

 宿泊施設は波及効果に期待を寄せる。福島市の土湯温泉観光協会の担当者は「せっかくチャーター便が運航しているのだから、県内のいろんな所に行ってほしい」とし、公共交通などの移動手段の充実やツアー商品の多様化を望む。

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