地域移行、文化部も…上尾市、市立小中学校対象の「英語クラブ」設立へ 英会話特化の部活動移行は全国初

上尾市役所=埼玉県上尾市本町

 埼玉県上尾市は9日、2024年度の新規事業で、中学生の部活動地域移行の文化部版として、英会話に特化したイングリッシュサロン(英語クラブ)を設立すると発表した。新年度予算案に1333万円を計上する。同市によると、英会話コミュニケーションに特化した部活動移行の事例はこれまでになく、全国初という。

 新規事業の名称は、英会話コミュニケーションクラブ「イングリッシュサロン・小さな外国」。文化部の活動地域移行を前提とした取り組みで、市立中学校11校および小学校22校が対象となる。市内の6公民館を拠点に1会場約20人をめどに月3回ほどの実施を予定している。講師は外国語指導助手(ALT)と日本人コーディネーターが務める。参加生徒、児童に「日常会話ができるようにする」ことを目指す。

 同事業は、市が設けている職員による政策企画提案制度で採択された。提案した指導課によると、これまでバレーボールVリーグ女子の埼玉上尾メディックスと連携するなどの取り組みが進んでいるが、文化系の部活動については着手できていなかった。今回の新事業では、英語教育に力を入れる市の強みを生かし、コミュニケーションに特化し「生きた英語」を学ぶ環境を整備する。

 市では、2020年に文部科学省から教育課程特例校の指定を受け、市内全小学校で、生活科の一部にかわって1年生で年間34時間、2年生35時間の英語活動を実施している。指導課は、「小学校、中学校を通して、英語好きな子が集まり、生きた英語に触れる状況をつくることで英語のコミュニケーション能力を高めたい」と話す。

 畠山稔市長も「次世代を担う子どもたちに英語力をつけることは大切。英語で堂々と話せるように育ってほしい」と期待する。

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 同日、上尾市は2024年度当初予算案を発表した。一般会計は過去最大の788億8千万円で前年度比7.4%増。子育て、教育環境の整備、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、賑(にぎ)わい創出などを中心とする予算編成となっている。

 歳入は市税が前年度比0.8%増の328億753万円。地方交付税が同17.2%増の50億9千万円、市債は同11.0%減の32億5570万円。

 歳出は全体の51.6%を占める民生費が同10.4%増の407億3688万円。総務費が同9.8%増の77億5380万円。

 主な新規事業は、民間保育所の開設整備費支援(7億2503万円)、オンライン子育て支援事業(974万円)、スクールロイヤーの設置(133万円)、保育所での英語体験の実施(1711万円)など。

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