岩本照主演『恋する警護24時』考察が深まる驚きの展開に 里夏から辰之助へ“告白未遂”も

誰だって、できることなら前向きに生きていきたいものだ。どんなことをされても広い心で受け止めて、「大丈夫、気にしてないよ」と許してあげる。人を許すのは、過去にとらわれている自分自身を解放することにもつながる……と、さまざまな場所で聞いたことがある。

たしかに、傷つけてきた相手にとらわれている時間は、もったいない。そんなことは頭では分かっていても、心が追いつかないことがある。『恋する警護24時』(テレビ朝日系)の辰之助(岩本照)は、そんな葛藤を抱きながら生きてきたのだろう。

辰之助の時間は、父親が殺害されたあの日から止まっている。仲間に罪をなすりつけて逃げた真犯人・水田(織山尚大)を探し出して、罪を償わせることが最優先。自分は幸せになるべきではないとまで思ってしまっている。こんな生活が、いつまで続くのか。水田が見つかったところで、辰之助は納得できるのか。元恋人の結子(吉谷彩子)や、里夏(白石麻衣)が、事件のことは忘れて幸せに生きてほしいと願う気持ちも分かる。

これからの人生、ずっと誰かを憎しみ続けたまま生きていくよりは、パッと許して前を向いた方がいい。許す瞬間は苦しいかもしれないが、この先ずっと苦しむよりはそっちの方がいいのかもしれない。ただ、どうして傷つけられた側の人間ばかりが苦しまなければならないのだろう。真犯人は今ごろどこかでのうのうと生きていると思うと、もやっとする。

第5話では、「溝端淳平演じる漆原が水田なのでは?」というフラグがたった。漆原の会社の新商品お披露目パーティに招待された客が、「事件に巻き込まれた少年3人のうちのひとりに、(漆原が)よく似ていると噂になっていた」と発言していたり、辰之助の父が殺害された日に水田が行動を共にしていた金井(渋谷謙人)と密会していたり……。溝端淳平が出ている以上は、ただの社長では終わらないと思っていたが、まさか真犯人の線まで出てくるとは。

さらに、金井の仲介で水田と会うことになった辰之助が、約束の場所に向かうと、そこで金井が殺害されていた……という驚きの展開に。しかも、同時に駆けつけた警察により、辰之助は殺人容疑で逮捕されてしまう。たしかに、辰之助には金井を殺す動機がある。なんとも用意周到なシナリオだ。おそらく、考えたのは水田だろう。

今回は、考察系アクション・ラブコメディーの“考察”の部分がウエイトを占めていたが、“ラブ”でも大きな進展が。里夏が、「ふだんのあなたが知りたい。いつからか、いつの間にか、そういう想いが大きくなって、わたしは多分あなたのことが……」と告白の未遂をしたのだ。辰之助に「シッ、それ以上は言わないでください」と止められてしまったが、里夏の気持ちは伝わっているはず。「あなたの警護は、俺にとって任務なので」と返したということは、任務が終われば恋愛に発展する可能性もあるのだろうか。

里夏は、いつも考えが前向きだ。辰之助に想いを伝えるときも、「北沢さんに、もっと笑ってほしい。どんなふうに笑うのか、何にホッとして、何をするのが幸せなのか。もっと知りたい」とポジティブな言葉を並べていた。あの日からずっと心の底から笑うことができずにいた辰之助も、里夏と一緒にいたら、また笑えるのではないだろうか。そして、自分も幸せになっていいんだと思えるようになってほしい。その人といることで、笑えたり、ホッとできたり、幸せな気持ちになったり。それこそが、恋の醍醐味だと思うから。

(文=菜本かな)

© 株式会社blueprint