観光ホタル舟 5年連続中止 原因はコロナ…じゃなくてホタルがいない 生息数は2017年比99%減 鹿児島・さつま町

水辺の環境を確認しながら川を下る「奥薩摩のホタルを守る会」のメンバーら=2023年5月12日、さつま町の川内川

 鹿児島県さつま町神子地区の川内川で例年5月にホタル舟を運航する「奥薩摩のホタルを守る会」は、ホタルが近年激減している状況を踏まえて今季の運休を決めた。新型コロナウイルスの影響などもあり、2020年から5年連続の中止になる。

 同会などによると、21年7月の大雨でホタルの幼虫やその餌になるカワニナが大量に流されたことが、激減の一因とみられる。川内川河川事務所が23年5月に実施したホタルの分布調査では、舟を運航している神子橋上流付近で17年比99%減だった。

 同会は、カワニナがほとんど確認できず、今季も大きな回復は見込めないため中止を決定。昨季に続き使用機材の整備や舟を操る「さおさし」の練習、河川清掃は実施する予定という。栗野明男会長(70)は「再開したい気持ちは強いが、自然相手なので致し方ない。今季の状況を見ながら来季を考えたい」と話した。

 町内では、二渡地区でもホタル舟が運航されていたが、数が減り、スタッフの高齢化も進み昨季で終了した。町は来年度から国や関係団体、有識者を交えた協議会を立ち上げ、ホタル再生に向けた検討を進める予定。

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