イケメン次長に呼び出され…。不倫沼にハマった勝ち組女性が落ちた「もうひとつの沼」とは【エリート銀行員たちの不倫事情】後編

家でも職場でも居場所がない。千鶴さん(仮名・37歳)はコロナに感染し、そう痛感していました。
メガバンクで働く彼女は、夫と息子と3人暮らしです。彼女を残して夫が帰省した後、家に次長の克己さん(仮名・40歳)が来て……

衝撃の結末を迎えるエピソードの、後編をご紹介します。

動揺…。なぜ家に次長が?

なぜ家に次長が?

開けようか迷っていると、カメラ付インターホンの向こうで克己さんは俯いて言いました。

「ごめん、迷惑だったよね。うちでは昔からお見舞いに行く風習があったから、つい……」
千鶴さんは時計を見ました。午前のお昼時で、夫と子供は、まだ関西にいるはずの時間です。

「宅配ボックスに入れて置くね」と立ち去ろうとしている克己さん。彼女は決心して、ロックを解除しました。

次に何が起こるか、分かっていながら。

いよいよ二人は… 次ページ

いよいよ結ばれる二人。しかし……

「彼は健康食品をたくさん持って来てくれました」
「風邪は治りかけても、油断してはいけないよ」という克己さん。

しかしそれが本来の目的ではないことは、どちらも理解していました。彼はソファに腰かけ、千鶴さんも横に座ります。どちらともなく、二人はキスをしました。キスは浅いものから徐々に獣のような舌の交わりへと変化してゆき…克己さんの手が情熱的に千鶴さんを抱きしめました。

ソファで結ばれて行為を終えた後、千鶴さんは彼の腕の中で余韻を味わっていました。

夢見心地のままでいると、不意にインターホンが鳴りました。

「一瞬ドキっとしました。でも夫と息子ではないことは分かっています。彼らは鍵を持っているので」
どうせ、宅配か何かだろう。そう思って立ち上がり、彼に声をかけようとした時、ある違和感に気が付きました。彼の視線はモニターに釘付けになっていたのです。その目は、まるで死人が訪ねて来たかのように、恐怖でひきつっていました。

モニターに映っていたのは?衝撃の結末は… 次ページ

モニターに映っていたのは? 衝撃の結末は…

「モニターには、面識のない男女5人組がうつっていました」

男性2人、女性が3人。年齢はバラバラでした。通話ボタンを押すと、「体調、大丈夫?」「薬、効いた?」と口々に千鶴さんを労う様子が伝わってきます。

びっくりして克己さんの方を振り向くと彼は首を振り、「開けなくて良い」と口パクで伝えてきます。通話終了ボタンを押し、千鶴さんはソファへ腰を下ろしました。

「実は……」と克己さんは語り出します。

「彼はある団体に加入しているとのことでした。私の体の調子が悪いと伝えたら、それに見合った風邪薬を用意してくれた。それがモニターに映った人達だったみたいです」

彼女の住所を「薬の送り先」として伝えていたため、彼らは心配になって見舞いに来てくれたそう。「団体」と言いつつも、内容から新興宗教のような印象を受けました。

「彼らの絆は深く、体調不良者がいたら見舞いに行くのが当たり前らしいです。そこで勧誘するつもりなんですかね」

克己さんは母が昔からその団体に加入していたため、薬やお見舞いの風習には慣れ親しんでいました。しかし熱心な信者ではないため、千鶴さんを勧誘するところまでは考えていなかったそうです。

「むしろ隠したかったんじゃないでしょうか。出世に影響すると思ったんでしょうね」

申し訳なさそうにして「今度お詫びをする」という克己さん。しかし、千鶴さんの感想は意外なものでした。

「今度、集会に行ってみようかなと思います。モニターに映った人たちも、悪そうな人たちじゃなかったし」
鬱陶しい家族や職場の人間関係から離れられる、サードプレイス。まさに千鶴さんが求めていたものでした。

集会にはあまり行かない克己さんも、彼女が行くなら同伴してくれるとのこと。二人の恋路は、どうなっていくのでしょうか……

© 株式会社主婦の友社