広島新スタ、「最高の雰囲気」ならではの課題も 柏好文は青さんと誓い「ここから、まだまだ一緒にピッチに立ちたいな」

2月10日、サンフレッチェ広島は新本拠地「エディオンピースウイング広島」のオープニングマッチで、ガンバ大阪と対戦。48分にピエロス・ソティリウがヘッドで先制点を叩き込むも、1-2で逆転負けを喫し、白星発進とはならなかった。

それでも真新しいスタジアムは満員の2万6418人で埋まり、雰囲気は最高潮。広島の明るい未来を予感させた。一方で、今後に向けての課題も。スタンド最前列からピッチまでわずか8メートルの近さ、特徴的な屋根による反響で、選手同士での指示が通りづらい点だ。

キャプテンの佐々木翔は、サポーターの大声援について、少し冗談めかしてこう語った。

「声援がすごくて、自分たちの声が通らないので、もうちょっとみんなでアイコンタクトを使いながらやっていかないといけないなと。でも声援のこもり方などが、やっぱり今までとはまた違いますし...今日、広島もそうですけど、数多くのガンバのサポーターにも足を運んでいただいて、素晴らしい雰囲気で一緒に楽しめたと思います」

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また、在籍11年を誇る柏好文は「10年以上いますけど、応援や声援はすごく良いものがありました。最高の雰囲気」と確かな手応えを示したうえで、声援の力は他を補って余りあると伝えた。

「ピッチに立ったら、仲間の声や指示の声はなかなか聞こえづらかったので、連係面では声が通らないですけど...その分、やっぱり後押ししてくれるような声に本当に勇気づけられますし、キャンプ明けで身体はきつかったですけど、ピッチに立ったら本当に、全てを懸ける思いで身体が動きました」

待ちわびた新スタジアム。柏は長らく苦楽を共にする青山敏弘との会話も明かした。

「交代後もピッチを見渡して、『やっとできたんだ』と。ピッチに立った時は、青さんとそういう話をして、セレモニーをやってる時も『やっとここまで来たな』って話をしながら、一緒にピッチ立てたので。『ここから、まだまだ一緒にピッチに立ちたいな』って話もしました。そのためには競争に勝っていく必要がありますし、もっともっと試合に出たいなと、改めてこのピッチで感じることができました」

エディオンピースウイング広島で新たな歴史を作り、屈指の熱量を誇るサポーターたちと共に、歓喜の瞬間を迎えられるか。間もなく、9年ぶりの優勝に向けたシーズンが始まる。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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