【編集長の独り言】スクウェア・エニックスのゲーム開発体制の報道に関して思うこと

前回から気がつけば2ヶ月以上経ってしまいましたが、ずっと忙しさにかまけて更新できずで申し訳ございません。ようやく落ち着いてきたこともあり、今回からもう少し間隔を空けずに更新できるよう頑張っていければと思っております。

さて、今回は先日Bloombergが報じた(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-06/S8FCLCT0AFB400)スクウェア・エニックスの開発体制の変更について、個人的に思う点を簡単に整理しておこうかなと考えています。ゲーム開発というのはもはや年単位で進行するものとなっているため、実像を切り取るのは難しいかなというのが正直なところですが、自分なりの視点で触れていきます。

今回の報道の前提にあるのは、スクウェア・エニックスがどういうゲーム開発体制を敷いているのかという点にあると思います。基本的なところとして、ゲームはパブリッシャー(販売元)とデベロッパー(開発元)に二分されていますが、同社はパブリッシャーとしての性質が強い会社という印象です。

分かりやすいところでいうと、同社が現在提供しているスマートフォンゲームはほぼ外部の開発会社が手がけているもので、自社は企画・プロデュースとして携わるという感じです。これによって、多数のラインを並行して進められるという利点もあり、実際に近年のリリースタイトルの多さはその仕組みが機能しているのかなとも思っていました。

その一方、クオリティラインという点で納得のいく出来になっているタイトルはどのくらいあるのか、また運用体制的な継続性という意味で外部開発のタイトルは損切りも早いのかなという懸念もあって、直近のサービス終了へのユーザーの反応もそのあたりに起因しているのかなと思う部分があります。

また、実はコンソールゲームについても外部開発が多数を占めていまして、現状内部開発のリソースは「ファイナルファンタジー」シリーズのナンバリングなどごく限られたタイトルに限られている印象です。それはタイトルの開発期間の長期化を考えると当然ですし、それでもヒットに結びつくかは分からないところなので、経営上難しいというのはあると思います。

その中で、今回の報道は内製の大型ゲーム開発に注力する方針で、組織体制の変更についても言及したというものでした。この判断について、個人的には近年のタイトルリリースやセールスの状況を考えれば妥当ではあると思っていますが、一方で従来のようなペースでのタイトルリリースの体制は難しくなるだろうという肌感を持っています。

ざっくり言うと、スマートフォンゲームのラインはかなり縮小されるだろうなと。現状で採算が取れているラインはまだ継続して運用していくのでしょうが、新規の企画はIPタイトル含めてかなり作りづらくなるのではと考えています。スクウェア・エニックスというブランドに対してユーザーが求めるものに注力するなら、そこにエネルギーを割くのは難しいというのも分かります。

昔黒川塾で元社長の和田洋一氏がゲストとして登壇された際(https://www.gamer.ne.jp/news/201606050011/)、各事業(「FFXIV」に代表されるMMORPG、スマートフォンゲームなどのFree to Play、大規模タイトル)をキャッシュフローで切り分けるようにしたと話していました。それは今もベースにはあるように感じていますが、それ自体もスマートフォンゲーム市場の飽和や大規模開発化によって新たな局面を迎えることになると思うので、次の一手をどこに打つかというのは、新たに代表取締役社長に就任した桐生隆司氏の手腕にぜひとも期待したいところです。

【編集長の独り言】記事一覧


© 株式会社イクセル