ワクチン効果が薄れる頃にインフルエンザが流行!もう一度予防接種をするのはアリ?【小児科医が解説】

受験シーズンと重なりやすいインフルエンザの流行期。早めにワクチン接種をしていても、流行のピークが遅く来た場合は、ワクチンの効果が薄れていないか不安になるものです。

Q. インフルエンザワクチンを1シーズンに2回打ってもいいですか?

Q. 「3月に受験を控えている子どもがいます。10月にインフルエンザワクチンを接種したのですが、最近子どものクラスでインフルエンザが大流行しており、接種済みの子も感染したと聞いて、とても心配です。受験前に、もう1度ワクチンを打ってもいいのでしょうか?」

A. 2回打つことも可能ですが、絶対に予防できる保証はありません

まず結論からですが、2回接種することは可能です。 日本においては、13歳以上のインフルエンザワクチンは原則として1回接種とされていますが、ワクチンの添付文書には「13歳以上のものは1回または2回」と記されています。 1回接種から時間が経ってから、流行のピークが来てしまった場合は、再度接種して、抗体値を上げておくことも1つの方法です。 インフルエンザワクチンは、年齢によって1回接種と2回接種がありますが、13歳以上が原則1回接種とされているのは、健康な成人と基礎疾患(慢性疾患)のある人を対象に、インフルエンザワクチン0.5mLを1回接種した場合と2回接種した場合の差を比較した調査で、インフルエンザに対する抗体値の上昇は同等だったと報告されているためです。 13歳未満の場合は、1回接種よりも2回接種の方が、より高い抗体値が得られたため、2回接種です。一方で、WHOおよびアメリカでは、「9歳以上は1回接種で適当」とされており、国によって違いがあります。 今回のご質問はお子さんの年齢が不明ですが、3月に受験ということなので小学生ではなく、高校生のお子さんと推察します。早くにワクチン接種をした場合、抗体値は時間経過によって徐々に下がっていきますので、ご心配なことでしょう。 最初にお伝えした通り、希望すれば2回目のワクチン接種も可能ですが、インフルエンザはワクチン接種をしていても罹患する可能性がありますので、油断はできません。 また、2024年度以降に、日本でも生ワクチンの接種が可能となります。50歳以下が対象です。 生ワクチンの方が不活化ワクチンよりも1回接種でも効果が高いと考えられていますので、重要な予定があるシーズンの場合は、生ワクチンの接種を検討するのもよいでしょう。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。 (文:清益 功浩(医師))

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