女装に仮面着け「オイヤナ、オイヤナ」 春呼ぶ「お伊勢講」 なぎなた振り無病息災願う 鹿児島・南さつま

「オイヤナ」の掛け声で集落を巡るお伊勢講=11日、南さつま市笠沙町片浦

 鹿児島県南さつま市笠沙町片浦で11日、伝統行事「お伊勢講」があった。鬼、てんぐ、ひょっとこなどの面を着けた振り子23人が長じゅばんで女装。なぎなたを振り回し、「オイヤナ」と叫びながら狭い坂道が続く港町の集落を練り歩いた。

 お伊勢参りの旅費集めで「おいやっな(おられますか)」と各家を訪ねたことに由来する。なぎなたでたたかれると無病息災で過ごせるとされ多くの大人が頭を向けるが、涙を流して怖がる幼い子の姿も。

 地元の大笠中学校からは4人が参加した。集落在住の2年有留蓮さんは「皆の健康を願った。人は少なくなったがいつまでも続けたい」。5年ぶりに振る舞いのぜんざいや直会も復活し、片浦公民館の橋口一郎館長(71)は「集落に春を呼ぶ行事。盛大ににぎわい喜ばしい」と語った。

〈別カット〉「オイヤナ」の掛け声で集落を巡るお伊勢講=11日、南さつま市笠沙町片浦

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