鹿児島市のサッカースタジアム構想 北ふ頭整備断念へ 地権者の県が「困難」と伝達 候補地選び振り出しに

鹿児島市がスタジアム整備断念の意向を固めた鹿児島港本港区北ふ頭=1月8日、本社チャーター機から

 多機能複合型サッカースタジアム整備を目指す鹿児島市は、候補地の鹿児島港本港区北ふ頭を断念する意向を固めた。関係者への取材で11日分かった。地権者である塩田康一知事が同日、市役所で下鶴隆央市長と面会し、事実上、北ふ頭は困難との考えを伝えた。下鶴市長が13日の会見で断念を表明する見通しだ。

 2023年6月に北ふ頭案を表明してから8カ月で候補地選びは振り出しに戻った。今後は別の場所で整備を目指すことになる。

 塩田知事と下鶴市長は約30分間面会した。その後の報道陣の取材に塩田知事は、北ふ頭案は港湾事業者との調整や港湾計画の見直しなどに時間がかかると指摘。「他の候補地を探すことも必要」と再考を促したことを明らかにした。下鶴市長は「早急に北ふ頭の取り扱いを協議する」と述べるにとどめた。

 鹿児島ユナイテッドFCの5年ぶりのJ2復帰が決まり、最速で来年にもJ1昇格の可能性がある中、県と市の協議に進展はなく、県議会は昨年12月に県に見解を早期に示すよう提言。市議会も2月に入り、整備の可否を早急に見極めるよう市に迫っていた。

 スタジアム整備を巡っては市が19年に、本港区のドルフィンポート跡地と住吉町15番街区、浜町バス車庫の3カ所を選定した。その後、浜町は敷地を所有する民間事業者の取り下げ要請を受けて除外。残る2カ所も断念した。

 北ふ頭案の表明後、県は「365日にぎわう観光拠点」とする本港区グランドデザインとの整合性や、就航する奄美・喜界航路とすみ分けを図るよう要望。港湾事業者との協議も再三求めていた。

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