鹿児島市が目指すサッカースタジアム整備を巡り、候補地から北ふ頭が消えることになった。3連休真っただ中の11日にセットされた下鶴隆央市長と塩田康一知事の面会は「異例」(市幹部)という知事側の呼びかけで実現。計画に進展がなく両トップとも議会から政治決断を迫られる状況下、時間軸を考慮する塩田知事が早期決着に向けて引導を渡した格好だ。
知事側が申し入れたのは5日昼。市側の回答で日取りが決まったのは、直前の9日午後だった。連休明けの13日には市の新年度予算案発表を控えていた。
面会後、報道陣の取材に塩田知事は鹿児島ユナイテッドFCのJ1昇格の可能性や新年度予算の議論が始まるタイミングに言及。「時間軸をより強く意識して県と市が一緒に考える必要がある。県議会の提言も踏まえた」と真意を語った。
昨年12月、県議会から整備の可否を示すよう提言を受けた塩田知事。「どういったものを建設するか十分な説明がなく、良いとか悪いとか言える段階ではない」と、あくまで市側に課題整理を求めていた。
ただ、1月の年頭会見以降は「時間軸」という言葉を使い、暗にタイムリミットをにおわせ始める。2月に入ると、県議会最大会派の自民が3月定例会の代表質問で提言への対応をただす意向が県当局に伝わった。県幹部は「何もせずに3月議会には突入できない」と周囲に語っていた。
夏に知事選、冬は市長選がある。県議や市議からは「互いの選挙に影響が出ないよう早期に決断するのでは」との観測が広がっていた。