北陸応援割もう「予約」 県内の旅館・ホテル 開始日未定も適用見越し

  ●3、4月で1000人超施設も

 富山県内の旅館・ホテルで、能登半島地震の復興に向けた観光支援「北陸応援割」を見越した宿泊予約が相次いでいる。県が来月中旬の開始を目指す中、実施期間が決まっていない現段階で既に3~4月の予約が1千人を超えた施設もある。各施設は「元気な富山から経済を回す」と歓迎しながらも、続々と入る予約が応援割の対象になるか気をもんでいる。

 庄川温泉郷の観光ホテル「ゆめつづり」では3~4月の予約が約1500人を数える。岸田文雄首相が先月末に応援割の実施を明らかにして以降、立て続けに予約が入っている。

 内訳は県内が約850人と半数を超え、県外は北は北海道、南は大分など九州から予約が入り、お隣の石川は約100人。地元客の多さについて、接客部支配人の森田幸恵さんは「正月は地震でくつろぐどころではなかったので、家族や友人とゆっくり過ごしたい人が多いのでは」と推測する。

 同じく庄川温泉郷の旅館「三楽園」も3、4月の予約が約1千人を数える。週末はほぼ埋まり、平日も空室は残り少ない。社長で富山県ホテル・旅館生活衛生同業組合の坂井彦就理事長は「たくさんの応援は期待の裏返し。しっかりともてなして、北陸を盛り上げたい」と腕まくりする。

 富山県は石川など応援割の対象県と協議し、開始日を決める方針。旅館関係者からは「3月16日の北陸新幹線敦賀開業の日から始まるのでは」との予想も出ており、坂井理事長は「具体的な開始日が決まれば、ひとまず入れた予約をグレードアップする動きも出てくるのではないか」と期待を込める。

 宇奈月温泉のホテル黒部では3、4月で約770人の予約が入り、例年に比べて好調という。女将の中島ルミ子さんによると、個人客に加え、旅行会社が部屋を押さえる動きもある。旅行代金が最大で半額になることを想定し、グレードの高い部屋やカニ料理を希望する客もみられる。

 首都圏からの利用が中心という宇奈月温泉の旅館「延楽」は3、4月の予約が前年比3割増。応援割の実施が判明した後、2月の予約を3月に移したケースもあった。社長で宇奈月温泉旅館協同組合の濱田政利理事長は「『こんな時だから』と泊まりに来てくれる常連がいる」と感謝する。

 観光庁は制度の詳細を詰めており、開始日の決定前に入った予約が応援割の対象になるかは「取り扱いを検討中」としている。既に入った予約が応援割の対象にならない可能性も想定し、旅館関係者からは「予約の取り直しを案内して対応する必要が出てくるかもしれない」との声が聞かれる。

 

 ★北陸応援割 富山、石川、福井、新潟4県への旅行商品を半額で購入できる。期間は3月から4月下旬の大型連休前までを想定。宿泊の場合は1人1泊につき2万円が上限。新幹線や高速バスなど交通費と宿泊がセットになったパックツアーも割引の対象とする。同一県内に2泊以上するパックツアーを購入する場合は、1人当たり3万円が割引の上限。2県以上で宿泊する周遊型は上限を3万5千円とする。旅行業者や宿泊業者に助成する形で、旅行者は割引価格で購入できる。

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