緊急速報「外へ逃げろ」 片付け中のボランティア、緊張走る

緊急地震速報が鳴り、不安げな表情で揺れに備えるボランティア=11日午後0時41分 輪島市河井町

  ●復旧支援の思いは変わらず

 3連休2日目の11日、能登半島地震に見舞われた奥能登で災害ボランティアが片付け中に強い揺れに襲われた。1月16日以来の緊急地震速報に、運営スタッフは「建物から離れてください」と叫び、建物内で作業を進めていたボランティアらは「外へ逃げろ」と避難した。天候に恵まれ、片付け日和となった被災地に緊張感が走った。

 支援物資の配布が行われていた輪島市の輪島マリンタウンでは、緊急地震速報の音が鳴ると運営スタッフが「建物から離れてください」と叫び、被災者を誘導した。▽津波が来ないこと▽荷物や建物に損傷がないこと―を確認し、5分後に配布を再開した。

 学生の堂免(どうめん)真衣さん(21)=北九州市=は「地震の経験がないので怖かったが、12日も志賀町でボランティア活動をする。少しでも復旧の力になりたい思いは変わらない」と話した。

 輪島市河井町の民家で作業していた会社員の高見顕さん(51)=白山市=は思わず「逃げろ」と叫んだ。倒壊の危険がある建物内での緊急地震速報は緊張感が違ったとし、「倒壊している家屋の様子が頭をよぎった」と不安をのぞかせた。

 「何かしたい」とボランティアに参加した介護職員の新田徹さん(54)=奈良県香芝市=は、河井町の別の民家で家具類の片付けに協力中だった。「ぐわーんと揺れて怖かった。階段を駆け下りた」と振り返った。

 休日を利用して参加した内灘町の岩見藍さん(44)は「久々に速報を聞いて逃げなきゃと思った。命あってのボランティアなので、気を付けて作業したい」と話した。

  ●事前に対応確認

 珠洲市内でボランティアをしていた甲府市の会社員廣瀬友紀さん(28)は事前にミーティングで余震の際は作業を止めて、すぐに家を離れるよう確認しており、「家主さんが家の中にいたが無事だった。もう少し地震が大きかったら危なかったかもしれない」と話した。

 穴水町の個人宅で汗を流した金沢市の会社員山上智至(ともゆき)さん(48)は「誰かの助けになればと思って来ている。これからも余震に気を付けて作業に当たりたい」とした。

 輪島市町野町地区で夫と在宅避難を続ける友田政子さん(80)は、横になって休んでいた時に揺れを感じ、慌てて外に出た。「1月1日の地震は揺れが大きくて家の中でずっと動けず、怖い思いをした。それから敏感になっている」と顔をこわばらせた。

© 株式会社北國新聞社